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介護日記 9

 

週に二度、病院にいる父のスリッパを取り換えに行く。

無理に頼んで入院させてもらっている。

父は病院でもオムツを拒否している。

私は朝早く父のところにいく。

たまにトイレがクソまみれになっている。

私が掃除しなくても掃除のおばさんがやってくれるのだが、申し訳ない。

毎朝8時に掃除のおばさんがくるからその前に行く。

それでも、私が行く週二度以外はおばさんが父のクソを掃除している。

掃除するのは時間がかかる。自分につかないようにたくさんのトイレットペーパーをつかった時間をかけて慎重に便器をみがいていく。その日一日は食欲が失せる。

ごくたまに看護師さんの所にお菓子をもってお礼をいいに行く。

病院で嫌がられて追い出されたら、また私が自宅で父の世話をすることになる。私はもう父の世話をすることができない。

父も看護師さんや掃除のおばさんに迷惑を掛けてはいけないとわかっている。だから気合が入ってクソや小便をもらすのは2週に1度程度だし、看護師さんに強く注意されれば風呂に入って体を洗い流す。父が拒否しても聞かず、危ないからといって爪を切ってくれる。父もよそ様には怒鳴らない。

私ではそうはいかない。もらしたまま着替えない。手を貸そうとすると怒鳴って拒否する。風呂には1年以上平気で入らず、やっと入っても体を洗うことなどできない。ヒゲはそらない。鼻毛があふれ出る。爪も異常なくらいのび、手を洗わないから野生動物より汚い。何度掃除しても後から後からもれてくる。着替えないから何度ふいて回っても切りがない。虫が湧く。毎日洗濯に3時間かかった。

とても簡単なことだ。父以外は誰もがわかっている。オムツをすればいい。これがどうしてもできない。

本人はプライドが高いからオムツなんてつけられないというが、もう50回はもらし、その度、誰かがその後始末をしている。その事実を認めない。人間は自己肯定しないと生きていけない。少しボケているからもらした事実を認めず、その事実を忘れ、自分に都合よくなかったことにする。ウソをつくのと違い本心からオムツは必要ないと思っている。

スリッパからだけでも部屋中に悪臭が放たれる。

私と父の場合、できるだけ離れた方がいい。私を怒鳴って無理矢理従わせることができても、病院ではそうはいかない。

車椅子にもなかなか乗らなかった。他の病院に検査に行かなければならず、私が付き添うのだが車椅子など必要ないと怒鳴る。

しかし、歩けない。

車椅子を支えにするという。父が車いすを支えにして無人の車椅子を押して歩き、その後ろを私がついて歩く。誰がみても認知症の老人だった。

なかなか前に進まないので手を貸そうとすると怒鳴るが、診察時間に間に合わなくなるので少しきつくいって車椅子に座らせた。

病院の人たちはやさしい。いうことを聞かない父がベッドに縛られたことがあった。ベッドに体を縛り付けるには家族の同意書がいるので、私は許可書にサインをするためだけに至急病院から呼び出された。

数年前なら無理矢理病院を出てしまった父だが今はトイレに行くのがやっとで、それ以外はずっと寝ている。

全て父が悪い。看護師さんや掃除のおばさんのストレスも限界に達しているかもしれない。病室のにおいもひどい。

オムツをするだけで解決する。

80歳を超えた老人がよくなることなどない。よくなってもらっても困る。長く生き過ぎている。死ねなくて困っている。絶対にあんなに長く生きたくない。もっと早く時が過ぎ、老化して欲しい、もっと早く歳を取って自意識がなくなって欲しい。私も、おそらく看護師さんも掃除のおばさんもそう願っている。(山田)

 

 

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