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失禁

 

数年前の深夜、銀座から池袋までタクシーに乗り、池袋に着くと金がないことに気づいた。

「あ、金ないや」

とつぶやくと、

「この野郎! 無賃乗車じゃねーか!」

と運転手がすごい剣幕で怒り出し、驚いた私は思考回路が切れてしまった。

そのまま池袋警察署に連れていかれ、警察官に住所と名前を聞かれたが、自分の住所も名前もどうしても思い出せず、ただ時間だけが過ぎていった。

時間が経って落ち着いてくると名前も住所も答えられるようになり、落ち着いてみればキャッシュカードがあるので何の問題もなく、タクシーの運転手に支払いを済ませやっと解放された。酒をやめようかな、と本気で思った。

そして先日、都内のおしゃれなバーで一人泥酔し、酔い潰れた。

女性の悲鳴で目を覚ますと、カウンター席でズボンをはいたまま小便をもらしている私がいた。白いズボンをはいていたので、失禁が目立った。アルバイトのお嬢さんの軽蔑の眼差しが忘れられない。死にたくなるほどみじめで、本気で酒をやめなければならない時がきたとわかった。

長く禁酒し、尊敬する遊び人に誘われ上京した。

話したいことがたくさんあるので喜んで出掛けたが、あまり飲む気がしない。小便をもらしたのも禁酒明けの酒だった。

せっかくアル中から抜け出せたのだから、これからは上手に飲みたい。記憶がなくなるような飲み方はもうたくさんだ。昔は酒がなければ人と話をできなかったが、今は酒なしでも平気になった。

遊び人の先輩に会えば、朝まで飲むに決まっている。長時間飲むから泥酔して失敗する。

ガラガラの上り終電車に乗って出掛け、ガラガラの下り始発電車で帰ってきた。ハシゴすることなく一軒でじっくりとビールを10杯飲み、記憶をなくさないように気をつけながら二人でいろんな話をした。

20代に朝まで飲んでいた仲間たちは死んだり、病気になったり、今でも酒を飲んでいる人はいない。それほど酒は恐ろしい。飲み過ぎれば必ず体を壊す。仲間を裏切るような気もするが、私はこのまま健康でいる。一人なので病気をするわけにもいかない。

ギャンブルに続いて酒もやめることができた。退屈だが分相応だろう。これで楽に生き抜ける。(山田)


 

| chat-miaou | 01:01 |
禁断症状

 

 

白洲正子が若い頃、修業だと思って毎晩日本酒を1升は飲んだ、というのを読んだ時、死ぬほど日本酒が飲みたくなった。

日本酒の酔いは後から後からぐんぐんと、どんよりと重くやってくる。途中から、酔いの先に何があるのか、その先に飛び込むような気分になる。どうにでもなれ、という気分で、1時間もすると消化が酔いにおいつけなくなり記憶が飛ぶ。気付くと死人のような二日酔いを迎えている。

二日酔いの体に鞭打ってまた日本酒を口にするのは勇気がいるが、二日酔いには迎え酒が一番効く。

毎晩1升飲み続けて2週間経つと、夢と現実の境がなくなってくる。現実と、酔っている時の妄想と、眠っている時にみた夢の境があいまいになり、実際には会っていない人と話した記憶があったり、嫌いな人や活躍中の人たちが自分の悪口を言っているような被害妄想がやってくる。芸能人との交流を語るアル中は嘘をついている訳ではなく、夢のなかで本当に仲良く芸能人たちと交信し、それが現実だと勘違いしてしまっている。酒を飲み過ぎると体と頭が疲れ果て、様々な後遺症が襲いかかってくる。幻想と戯れる。

毛細血管や末端神経もやられ、手がしびれ、コップをもつ手がブルブル震える。酒が体に回ると手の震えは止まる。

日本酒の後遺症で毎日体中しびれまくったある夜、目が覚めると暗闇の中、天井を巨大なクモが這っていた。20センチほどのクモで、立ち上がって近くでみてもゆっくり歩いているが、そんなクモがいるはずないのはわかっている。

幻覚をみたから修行をやめた。

禁酒をするとボロボロになった体がみるみる回復していく。手の震えは5日で止まる。

禁酒して2週間経ち、すっきりした気分になった頃、突然体が膨らみ出した。全身の皮膚がブヨブヨにたるみ、まぶたが垂れて目が開かない。ひざの皮も段になって下に垂れている。

病院にはいかなかったからよくわからないが禁断症状かもしれない。はじめての経験に怯え、死ぬかもしれないと思ったが、嫌なにおいの紅茶のような小便が出た後、皮膚のたるみは数日かけてゆっくりと元に戻っていった。

人間の体がもつ回復力は強い。ずっと手が震えているようなアル中にはなかなかならない。

競輪場や大きな駅で、ボロボロになったアル中をたまに見掛けるが、彼らは飲酒時間が長い。長い時間をかけなければ、なかなかあそこまでにはなれない。ボロボロのアル中になるにはとにかく飲む。毎日飲む。そんなにたくさん飲む必要はなく、朝起きてから夜寝るまで昼も夜も時間をかけて飲む。飴玉をなめるように飲む。歯もみがかず、風呂にも入らず、けじめなく飲む。酒焼けと呼ばれる恒常的な赤ら顔にはちょっとやそっとの酒ではならず、長い長い時間をかけて肝臓組織が破壊されると酒焼けする。

私の周りにも一人そんなアル中がいてたまに電話をかけてきて本当に迷惑だ。一人でいられないアル中で、常に誰かに電話をしながら徳用の焼酎かウィスキーをストレートでなめるように飲み続けている。

彼は末端神経が完全にやられているので手の震えがひどい。会いたくないが、しつこいのでいやいや会うと必ずコーヒーや酒の入ったコップをこぼすので一緒にいるのが恥ずかしい。酒を飲むうちに、いつの間にか手の震えが止まり動きがなめらかになるのが笑えるが、一緒にいたくない。酔っていてもいなくても妄想は止まらず、いつも風俗嬢との恋愛を嬉しそうに語っているが、聞いていられず、一刻も早く家に帰りたい。一緒にいるところを誰かにみられたくない。

定期的に禁酒をし、1年に1度健康診断を受ければああいうアル中になることはない。健康でいられる。普通は、毎日歯をみがき、毎日風呂に入り、毎日下着を着替えるだけでもけじめがつき、ああはならない。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
4か月の禁酒

 

禁酒4か月を過ぎると、もうアル中ではない。飲まない日数を手帳に記していくよりも飲みに行った日数をメモした方が早い。退屈な日々だが、それが普通で、飲みに行くという選択肢はなくなった。

酒を飲まない人の気持ちがよくわかる。飲みに誘われるのが、どれほどわずらわしいかよくわかる。これまで私が飲みに誘い、断られた人たちの顔が浮かぶ。アル中は毎日飲むから誘われればすぐに出掛けて行くが、飲まない人にとってアル中の相手はしんどい。時間と金がもったいないので行きたくない。誘いを先延ばしにする人の気持ちが今はよくわかる。

元アル中の私にはアル中からの電話が今でもあり本当に迷惑だ。

「今、新宿で山田さんの話が出たから電話してみました。元気ですか? よかったらこれから出てきませんか?」

深夜の2時に1万円以上のタクシー代をかけて出ていくわけがない。もちろん電話に出ないので留守電が入るが折り返すことはない。同じ職場で働いたことのある男だが、何度も体を悪くしたと詳しく説明して断っているのに、アル中だから覚えることができない。私に電話をかけたことも覚えていない。

昼もかけてきて、メールもくるから逃げ切れず、昼に喫茶店で会った。末梢神経がいかれ、手の震えがひどく、コップを倒して水をこぼし、一緒にいるのが恥ずかしい。酒が抜けていないから声がでかい。新しい事業計画のアイデアや、かわいい女性がいるという飲み屋の話にうんざりした。待ち合わせ時間に遅れて来て、荷物が多く、煙草を吸って咳き込み、くしゃみがうるさく、行動に無駄が目立つ。結局、また探るようにしながら飲みに誘ってくるので断ると、

「つまんねえ人間になったな」

といわれた。

帰り間際にもトイレに行き、いちいち面倒くさいので勘定は私が払って先に帰った。

「今、新宿で山田さんの話が出たから電話してみました。元気ですか? よかったらこれから出てきませんか?」

また同じ文句が留守電に入る。携帯から私の番号を削除したい。(山田)
 

| chat-miaou | 01:01 |
1か月の禁酒

 

禁酒1か月を過ぎると全然飲みたいと思わない。朝からむくみがなく、体が軽くどこかに出掛けたくなり、雨の日をうらむ。

朝起きたらサントリーオールフリーを2本一気飲みする。すき家でも餃子の満洲でも、食前にノンアルコールビールを頼んで一気飲みする。1杯目の酒を飲みたい気持ちを常に台無しにしてしまう。

朝、すき家でまぜのっけごはんをつまみにノンアルコールビールを飲んでいると周囲から変な目でみられるのが嬉しい。

夜、餃子の満洲で本物の酒を飲んでいる人の隣でノンアルコールビールを飲む敗北感も嬉しい。ローソンに寄ってノンアルコールビールを買って帰る時、年齢確認ボタンを押させられるのが、ままごとをしているみたいで楽しい。

本物のビールを11杯も飲むことはなかったのに、サントリーオールフリーを毎日5本以上飲んでいる。喉越しまでは本物のビールと同じなのに、その後の胃袋から戻ってくるアルコールの香りと涙目がこない。同じくアルコールもカロリーもゼロであるアサヒドライゼロは本物に近いアルコールの香りと泡にこだわっているが、私はアルコールの香りと泡にこだわらないので、サントリーオールフリーが気に入っている。軽くて飲みやすい。一気飲みに適している。

アル中は二重人格だ。

毎日飲んでいる時はずっと酔っ払っていたいのに、酒が完全に抜けると飲んでいた自分を否定する。

煙草と一緒だ。ニコチンが完全に抜けると他の人の煙草のにおいが気になる。せっかく抜けたニコチンが、人のせいで副流煙として自分の体に入ってくるのが許せない。煙草の煙は吸わない人に向かって流れてくるようにできている。他人の体を通り抜けた煙が自分の体に入ってくるのも間接キスをしているようで気持ち悪い。翌日になっても服に煙草のにおいがしみつき、洗濯しなければ消えないのも頭にくる。

アルコールが完全に抜けると、酔っ払いをみていられない。人の話に過剰に反応し、全然面白くないのに手を叩いて笑っている。むくんだ赤いゆるんだ笑顔で同じ話ばかりしている。深夜に電話がかかってきて、せっかく話に付き合ってやっても酔っ払っているから翌日全く覚えていない。一人でいられない。酔っ払いは酔っ払い同士で時間を共有すべきであり、飲まない人にとって、酔っ払いとの時間は不快でしかない。

喫煙者への批判、アル中への批判はすべて自己肯定本能であり、自分への批判でもある。禁酒も禁煙も、ダイエットもドラッグも、ギャンブル中毒も借金も、抜け出している今だけの状況が嬉しくて、つい騒いでいるだけで、再び状況が悪化すれば本来の自分に戻っていく。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
禁酒の意味

 
 

3食食べていれば十分なのにつまみながら酒を飲み、酔っ払って満腹中枢がおかしくなってラーメンや菓子パンを食べる。

翌日、前夜の栄養が抜ける前から水を飲んだりメシを食うので体のむくみがとれない。

しかし、人それぞれ適正体重は元から決まっている。酒を飲まなければ自然に適正体重に戻っていく。

アル中が適正体重に戻るには2週間かかる。

2日や3日酒を抜いても傷ついた肝臓は回復しない。腎臓も傷ついている。排泄サイクルに時間がかかるのですぐにはむくみがとれない。

むくんだままにしておくと高血圧、脳梗塞、脳溢血、糖尿病になる。だから禁酒する。

禁酒2週間が過ぎると効果が出る。朝から体が軽く、頭痛がなく、ラジオ体操したい。水と空気がうまい。内臓回復には最低2週間かかると体でわかる。2週間経つと、ふと実感する。頭が正常になり、酒に起因する、ひがみ、妬み、怒り、憎しみ、などの被害妄想が消えていて穏やかな気持ちになっている。

太っているアル中と痩せているアル中がいる。

元々の適正体重もあるが、むくんでいるアル中はうまいものが好きで、鮨屋で舌鼓を打ったり、飲み終わってラーメンを食べたり、帰りにコンビニに寄ってお菓子や菓子パンを買う。

何も食べないアル中もいる。枝豆すら食べない。

何も食べないとスムーズに酔える。邪魔がないから酒のしみ込みがよく、クラクラして気持ちいい。時間が経つのが早く、朝まで軽やかに何軒もはしごできる。

何も食べないまま酔いつぶれると、翌朝、腹がへっこんでいる。

二日酔いだから迎え酒をする。

一度カラ酒を覚えるとくせになり、どんどん痩せていく。すべての栄養を酒からとるようになり、連続飲酒がはじまり、ずっと酔っ払っている。肝臓がクタクタになり、血液がにごる。手っ取り早く強い酒を飲むようになり、白目が濁り、血尿が出る。だから禁酒する。

体を壊すまで飲み切ってしまうか、体を壊さないように禁酒とアル中を繰り返すか。どちらも気持ちいいが、まだ先に何か面白いことが待っているような気がするから禁酒する。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
ガン細胞

 

飛行機が翼を広げた鳥の形をしているように、車が4輪か2輪であるように、すべては自然の流れにそっている。

春になり、夏になると虫が活発に動きはじめる。自然の一部である人間も同じように活発になる。

編集部にいた頃、知らない人から私あてによく手紙が届いた。海外放浪している自分の写真を送ってきて、わけのわからない長い詩のようなものがそえられている。冬の間は手紙を送ってくるだけなのだが、春になると突然編集部を訪ねてきて本を書くから編集してくれという。編集部の名前をつかって勝手に有名人に取材を申し込んだりもした。普通のおっさんで、ぶち切れそうに暑い日、ズボンをはかずにトランクスの下着のパンツ姿で訪ねてきて編集部にいた女性が思わず立ち上がって逃げていった。

暑くて湿気が高いと虫が大発生する。同じようにぶち切れる人が多い。みている分には楽しいが、ぶち切れられた人は本当に迷惑だ。こちらも影響されてぶち切れそうになる。早く冬がきてほしい。彼らは虫と一緒で、寒くなると血行が悪くなり春がくるまでじっとしている。

人口が増えるとそのまま増え続けず、今度は減っていく。地球上の人の数は細胞の数と同じで限度がきまっていて人数が増えれば増えるほど精子が薄まっていくのではないか。人が最大限まで増えてしまうと、その後子供ができずに淋しい思いをする人が増えるのかもしれない。

人に迷惑をかける嫌われ者(ガン細胞)は他の人(普通の細胞)から嫌がられ、普通は体内(組織)に存在できないが、体内にガン細胞が存在すると他の細胞に悪影響を及ぼし、ガン細胞は増殖、病み、最後には肉体は滅びる。

自分のためにも人に迷惑をかけてはいけない。人の嫌がることはしない。

人に嫌な思いをさせるとバチが当たる。

人に迷惑をかけた人が死ぬとみんなから「やっぱりバチが当たったんだ」と笑われる。

実際はバチは当たらないのだが、人に迷惑をかける人が死ぬことは嬉しいことなので夢がかなってバチが当たったような気分になる。頼むから死んでくれ、という願いが叶う。本来、人が死んでしまうのは悲しいことなのに嬉しくなってしまう。誰だって病気をするし必ず死ぬとわかっているのにバチが当たったと喜ぶのだから、人に迷惑をかけると100パーセントバチが当たる。

人に好かれた人が死ぬとみんなから「いい人ばかりが先に死んでいく」と泣かれる。

実際はいい人も悪い人も同じペースで平等に死んでいくのだが、好きな人が死んでしまうと悲しくなり、早死にしたような気になる。

せっかく生きているのだから人に迷惑をかけずにひっそりと暮らしたい。

普通にじっとしている分には迷惑にならない。普段はじっとしていて助けを必要とされた時だけ手を貸す。隣の細胞が傷ついていたら栄養を分けてあげる。そんな細胞ならば他の細胞とうまく作用し合い、ガンになることなくおだやかに暮らしていけそうな気がする。(山田)

 

 

| chat-miaou | 02:01 |
ストーカー

 

ストーカーは本当に迷惑だ。自分の考えだけを相手の迷惑を考えずに一方的にぶつけてくる。ストーカー防止法があるのだからつきまとわれて辛い思いをしている人がたくさんいる。

2000年代に入ってみなが携帯をもつようになるとストーカーの存在がわかりやすくなった。番号表示や非通知設定ができるようになり、ストーカーとそうでない人の区別がはっきりした。

1980年代の出会い系テレビ番組では「最初は好きじゃなかったけれど、彼の電話攻撃に落とされた」という女性が多かった。1時間に1度ぐらい公衆電話から女性に電話している若者がたくさんいて、いつも公衆電話は込んでいた。今ならそんなに電話をするとストーカー行為として認定され警察から注意される。

昔、押しの強かった男が今ではストーカーとして警察から注意を受ける。おじさんによる若い女性へのストーキングが多いが、おじさんは必死に口説いているだけでストーキングだと思っていない。時代によって人間のふるまいは変わっていき、歳を取ったら若者に道をゆずり、早々死んでいくにかぎる。街でいい女をみて、その隣の彼氏をみると中高生みたいで違和感を感じる。ずれているのは私だ。

ストーカーの思いは熱い。お金をたくさんつかって日本経済に貢献しているストーカーもいる。

アイドルファンは礼儀正しくストーカー行為なんてしない。彼女を心から愛し応援し、イベントに参加し、グッズを買う。彼女のためならいくらつかってもかまわないという人もいる。まるで神様で、その中の1人か2人が愛情に歯止めがきかなくなってしまいストーカーとなる。本当は悪い人ではなかったのに悪い人になってしまう。

もし彼らが重度の脳溢血で全身麻痺になったとする。行動の歯止めがきかない人はブチ切れやすく血圧が高そうだからありえない話ではない。自分の気持ちを我慢することができないから酒も煙草もやめられず、発病リスクが高いから確率的には脳溢血を起こす可能性は十分ありえる。

もう脅迫状を書けない、歩けないからつきまとわない、体が不自由だから暴力をふるわない、電話できない。ただひたすらじっと相手を愛している神様のようなありがたい存在になる。ストーカー被害に苦しんでいる人がそう考えると少しだけ気持ちが楽になる。そして今日も心から祈っている。いつかきっとあの人が脳溢血で倒れますように。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
何でも人のせいにする人

 

何でも人のせいにする人はけっこう多い。人生に失敗した原因を考え、人のせいにする。人生に成功している人なんてごくわずかなのに、自分もまるで成功すべき人だったかのように思っている。

試験に落ち、会社をクビになり、病気になる。多くの人が普通に経験する試練を人のせいにする。いつも味方をしてくれる親のせいにし、無条件に応援してくれる友達のせいにし、発想が責任逃ればかりだから大人になれず、小学生みたいな文句ばかりいっている。かなりレベルが低い。

酒場でよくみる。あわれでみっともない。横で話を聞いていて全く共感できない。物事を自分に都合よく解釈し、それが酔っ払ってエスカレートしている。周囲の人はあきれ、嫌な気持ちにさせられる。その人がいるだけで、いつも雰囲気が悪くなる。気の弱い心の広いマスターが話を聞いてやり「色々あるから」と相槌を打っているが、何もない。そんな話を聞かされるているマスターの胃に少しづつストレスで穴があく。自分で選んではじめた仕事とはいえ、こんな奴の話を聞かなければならないなんて生きているのが嫌になる。1人の無能の男が、たくさんの人を嫌な気持ちにさせる。

全て自分が好きで選んだ人生なのに、人のせいにすることで自分を肯定しようとする悪癖が身にしみついている。こういう人は人を馬鹿にすることによって自分が相手より上の人間だと自己確認しようとするが、既に周囲から大した人間ではないと評価は確定されていて、それをどうしても受け入れることができない。いいことがあると人のせいにせず、嬉しそうな顔でいつまでも自分の努力を語るのだから本当に迷惑だ。

酒を飲むのも人のせいにする。

飲みたいから酒を飲み、酒は合法で、時間を早送りしたいほど嫌な気分になる時はいくらでもあるからみんな酒を飲んでいる。

酒を覚えたことさえ人のせいにする。

酒が嫌いな人なら最初から酒なんて飲まない。人を嫌な気分にさせる最低の酒飲みは同じ失敗を繰り返す。

大人はみんな自分の責任で酒を飲んでいるのに、二日酔い、酒の失敗まで人のせいにしようとする。大人になると責任が重く、悲しく、みじめな思いをして、みんな失敗しなくなる。

痴漢をし、ふざけて万引きをし、ものを壊し、暴力をふるい、逮捕されても言い訳する。普通の大人はそんな酒の飲み方はしない。

酒場で隣り合わせた営業マンが酔っ払っていて愚痴が続くが、私には全く関係がない。仕事が思い通りいかないらしいが、思い通りにいっている人なんていないという人間の基本を、この男は死ぬまで気付かない。誰だって人生をもう一度やりなおしたい。

「あなたは自分がハゲだということに気付いてるんですか?」

突然、私に聞いてきたので「気付いてますよ」と答えて帽子をとってみせた。

「わかってるんだ、へー、よかった、それはよかった」と言って頷きながら戸惑ったような笑顔をして間がもたずに酒を煽った。飲めば飲むほど自分を追い込み誰からも相手にされなくなっていく。翌日は自己嫌悪の二日酔いに苦しみ、周囲の誰かをうらむ。(山田)

 

 

| chat-miaou | 03:01 |
デブ、ハゲ、ブス

 

小学校3年生の時、家族旅行で電車に乗っていた時だった。長距離電車のボックス席で私は意味もなく興奮していた。向いに座った父はビールを飲み、赤い顔で上機嫌だった。

電車にすごく太った女の人が乗ってきた。私が「あ、すごいデブ」といってハハハと笑ったその瞬間、父が私の胸ぐらをつかんだ。

「お前の方がもっとデブだ、俺はお前を連れて歩くのが恥ずかしくってたまんねーよ」

真剣な怒った顔で私をにらみつけ、私の笑顔が凍りついた。

助けを求めるように隣の母の顔をみると、悲しそうに下を向いて、私の顔をみることなくつきはなした。それから先はずっと黙ったままだった。

学年一の肥満児であった私はそのストレスをどこかにぶつけたかった。親に守られている状態で、誰が悪くいえるような人をみつけた。

父と母は「お前なんか、人を悪くいえるような人間ではない。人に悲しい思いをさせて迷惑をかけるな」ということを教えたかった。今となってはありがたい。あの時の心の傷のおかげで、デブもハゲもブスも責任が重過ぎて恐くて口に出せない。

デブもハゲもブスも普通に口に出す人が多いが、いわれた方はとても傷ついている。自分がそうだからよくわかる。家に帰ってから絶対にいじけている。何歳になっても何度いわれてもなれることなく傷つく。死んでしまう子だっている。

傷つけるのは本人だけではない。産んでしまった親も、生まれてしまった子も傷つける。年下の上司にハゲを笑われたお父さんは家に帰って娘の顔をみることができない。学校でブスといわれた女の子は家に帰ってお父さんの顔をみれない。デブといわれた成長期の子がごはんを食べられなくなる。そんな思いをさせた人が大した人間になることは絶対にないのだから本当に迷惑だ。

ハゲの呪いは強い。いくら努力しても髪は決してはえてこない。祈りが神に届くことはない。怨念が通じハゲを笑った人の子は必ずハゲる。孫は若ハゲに苦しむ。全てハゲを笑った人が原因だ。

デブを笑った人の子は必ず糖尿病になり人工透析を受ける。ブスを笑った人の子は必ず脱腸になる。痛風になって歩けず、盲腸が腐って悪化し大手術に失敗して寝たきりになり、若くしてガンになり、しかも交通事故にあい、ホームに入ってきた電車に突き落とされる。そんな日本昔話を勝手につくって眠る前の子供に読み聞かせれば必ず悪夢にうなされ、人を傷つけることはできない。(山田)

 

 

| chat-miaou | 02:01 |
ICレコーダー

 

政治家が車の中で怒鳴っている声を、怒鳴られている秘書が録音し週刊誌に聞かせ記事となった。その音声を週刊誌がテレビ局を通して発表した。

「このハゲー!」と絶叫し、ハゲの私は我がことのように悲しかった。娘がいるという男性秘書は10歳以上も年下の女性政治家に「お前」と呼ばれ「この野郎!」と怒鳴られ、生きているのが嫌になったと思う。娘と目を合わせることができなかったにちがいない。「お前は頭がおかしいよ」とまでいわれ、聞いているこちらまで泣きたくなってきた。

この女性政治家はいつまでもネチネチと秘書をいじめる。いいかえすことのできないおとなしい秘書を相手になかなか終わらない。私には秘書の気持ちがよくわかる。早く怒りがおさまることをじっと待っている。私はずっとハゲでデブで仕事ができないので何度も同じ経験をした。こういうことをいわれる度に数日落ち込んだ。

相手は気持ちよく、心と体で快感を味わっているからいつまでも怒鳴ったり嫌味をいい続ける。

『連続殺人犯の心理分析』という本にサディストについての記述がある。性衝動、攻撃欲、食欲の中枢は脳に近接し、波及効果がある。人が苦しむのをみて興奮するサディストにはこの波及効果が強い。食欲は弱い動物への略奪行為と結びつき、性欲は他の雄への攻撃に結びつく。その抑制のためにも、教育、法、宗教が必要になるが、教育、法、宗教では管理しきれない。

人をいじめることに快感を覚える人は確実にいる。脳のつくりがそうなっている。抵抗できない弱い相手をみつけ、いじめているうちに気持ちよくて行動がどんどんエスカレートしていく。声がでかくなったり、自分に都合いいようにめちゃくちゃなことをいう。

秘書は暴力もふるわれ、すでに診断書もあるのだから絶対警察に被害届を出してほしい。きっと捕まる。今もどこかで悲しんでいる弱者のために、日本人の意識向上のために、示談でなく訴えてほしい。捕まることで女性政治家はこれから先絶対にいじめない人に生まれ変われるかもしれない。これを機会にいい人にだってなれる。怒鳴られるなんてみんな嫌だし、暴力を振るわれるなんて本当に不愉快だ。

普段の顔と、弱い者に対する顔をつかい分けることのできる人がいる。こういう人は警察に捕まって深く反省するか病院で治療を受けるしかない。警察と病院にいかないかぎりいつまでもいじめ続けてしまう。気持ちいいことはやめられない。警察か病院にいくことでやっと自分の異常に気づき、やっと後悔する。サディストからノーマルになる人も確実にいる。

政治家や有名人は日本人の代表としてふるまわなければならないという世の中になった。

いじめから逃れられないで悲しい思いをしている人はICレコーダーを買ってほしい。1万円もしないでかなり高性能なものが買える。小さくて軽くて操作もボタンを押すだけで10時間以上連続録音できる。ポケットやバッグの中に入れておいてもかなり鮮明に音声が記録できる。普通の話し声は全部普通に聞き取れる。嫌な相手に会う前に録音ボタンを押してから会えば、相手の発言は全て録音できる。

私はボッタクリ店に潜入取材した時、バックの中に録音中のICレコーダーを入れて入店した。自分の声も女の子の声も店員の声も全てはっきりと録音されていた。

刑事事件にできるような相手ならそれを週刊誌に送ればいい。証拠になる。反撃できる。せっかく生きているのだから悲しんでばかりはいられない。私も次は診断書を取って絶対に訴える。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |