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酒癖は治る

 

ここ数年、酒を飲んで記憶をなくすということが一回もない。

最後はひどかった。朝起きると財布がない。タクシーの中で寝てしまい、目が覚めると財布がない、ということが1年で数回続いた。その度にパスモとキャッシュカードとクレジットカードとツタヤカードとGEOカードを止めて再発行をする手続きを取り、クタクタになった。免許証も再発行した。全ての手続きを終えるには丸一日かかり、二日酔いで動かない体で手続きに回るのはかなりしんどい。だが、悪用される恐れがあるから一刻も早く手続きを終えなければ安心して寝ることもできない。

記憶をなくさない飲み方はいい。飲み過ぎないから尿酸値が上がらず痛風にならない。財布を落とさない。二日酔いにならない。いいことしかない。

記憶がなくなるほど飲むと無意識下に解放感が味わえ、その解放感が忘れられなくて結局痛飲してしまう。

体を壊したのも大きい。1年のうち4か月以上痛風の発作が続いて立ち上がることができなかった。朝起きると枕元に何箱も用意してあるロキソニンを飲み、15分かけてやっと立ち上がり、急いでその日にやるべきことをやってしまい、後は翌朝までずっと寝ていた。両足首同時に痛風の発作が起き、痛風とは違う病気でもう治らないと覚悟したが、治って嬉しくたまらない。

もう完全に飽きてしまった。若い頃の酒は希望で一杯で、二日酔いにも何か意味があるような気がする。歳を取ると二日酔いに絶望しか見出せない。そういうのはもういい。酒に意味なんてないし、自分の年齢を直視すればとっくに結果は出ている。

以前と違って今はまず何かうまいものを食ってしまう。何か食ってしまえば酒がまずくなり、たくさん飲めない。ソースをたっぷりかけた揚げ立ての串カツをかじり、よく冷えた中ジョッキを一気飲みする。2杯目からはもうあまりうまくない。以前は長時間飲み続けることができるように、できるだけつまみを避けてきた。今は11時過ぎに飲んでいることなどない。うまい料理屋はだいたい10時か11時には店を閉める。同じ話ばかりしている酔っ払いの相手なんてしたくない。周囲の酔っ払いの話を聞いていると全然面白くないし仲間になりたくない。

ステーキを食べながら赤ワインを飲む。口の中で肉と赤ワインがまざると肉も赤ワインもうまさが倍増する。赤ワインの場合、酒を飲むというより食事を楽しむ。肉を口に入れよく噛み、続いて赤ワインを口の中に足してさらによく噛む。食事が終わるともう赤ワインを飲む気はしない。定食の味噌汁のように赤ワインを飲む。ボトル半分ぐらいで食事が終わり、食後に飲み続けようとは思わない。

覚えていない不安というのは面倒くさい。何もしていないのに何かしたかのような不安になる。何も覚えていないから翌日、相手の顔を伺う。人と飲むといつもより飲み続けてしまう。人のペースに流されて杯を重ねてしまう。何十年も記憶をなくして失敗し、やっと習得することができた。人と飲む時、焼酎の水割りかビールしか飲まなければ記憶をなくすことはない。ワインを人と飲むと一人で1本飲んでしまい記憶がなくなる。ウイスキーの水割りは途中でストレートかロックを飲みたくなってしまう。日本酒を飲むと血が騒ぎ5合飲めば、後は格闘するように一升瓶を空けたくなる。

「山田さんは酒癖がね…」

という人はもういない。私が酔い始めると逃げるようにして先に帰る人もいない。

アルコール度数の低い焼酎の水割りとビールで記憶がなくなったことはこれまでに一度もない。酔いに消化が追い付いていけるから泥酔することも財布を落とすこともない。もっと早く気付くことができたなら、たくさんの女性と付き合っていたと思う。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
失禁

 

数年前の深夜、銀座から池袋までタクシーに乗り、池袋に着くと金がないことに気づいた。

「あ、金ないや」

とつぶやくと、

「この野郎! 無賃乗車じゃねーか!」

と運転手がすごい剣幕で怒り出し、驚いた私は思考回路が切れてしまった。

そのまま池袋警察署に連れていかれ、警察官に住所と名前を聞かれたが、自分の住所も名前もどうしても思い出せず、ただ時間だけが過ぎていった。

時間が経って落ち着いてくると名前も住所も答えられるようになり、落ち着いてみればキャッシュカードがあるので何の問題もなく、タクシーの運転手に支払いを済ませやっと解放された。酒をやめようかな、と本気で思った。

そして先日、都内のおしゃれなバーで一人泥酔し、酔い潰れた。

女性の悲鳴で目を覚ますと、カウンター席でズボンをはいたまま小便をもらしている私がいた。白いズボンをはいていたので、失禁が目立った。アルバイトのお嬢さんの軽蔑の眼差しが忘れられない。死にたくなるほどみじめで、本気で酒をやめなければならない時がきたとわかった。

長く禁酒し、尊敬する遊び人に誘われ上京した。

話したいことがたくさんあるので喜んで出掛けたが、あまり飲む気がしない。小便をもらしたのも禁酒明けの酒だった。

せっかくアル中から抜け出せたのだから、これからは上手に飲みたい。記憶がなくなるような飲み方はもうたくさんだ。昔は酒がなければ人と話をできなかったが、今は酒なしでも平気になった。

遊び人の先輩に会えば、朝まで飲むに決まっている。長時間飲むから泥酔して失敗する。

ガラガラの上り終電車に乗って出掛け、ガラガラの下り始発電車で帰ってきた。ハシゴすることなく一軒でじっくりとビールを10杯飲み、記憶をなくさないように気をつけながら二人でいろんな話をした。

20代に朝まで飲んでいた仲間たちは死んだり、病気になったり、今でも酒を飲んでいる人はいない。それほど酒は恐ろしい。飲み過ぎれば必ず体を壊す。仲間を裏切るような気もするが、私はこのまま健康でいる。一人なので病気をするわけにもいかない。

ギャンブルに続いて酒もやめることができた。退屈だが分相応だろう。これで楽に生き抜ける。(山田)


 

| chat-miaou | 01:01 |
禁断症状

 

 

白洲正子が若い頃、修業だと思って毎晩日本酒を1升は飲んだ、というのを読んだ時、死ぬほど日本酒が飲みたくなった。

日本酒の酔いは後から後からぐんぐんと、どんよりと重くやってくる。途中から、酔いの先に何があるのか、その先に飛び込むような気分になる。どうにでもなれ、という気分で、1時間もすると消化が酔いにおいつけなくなり記憶が飛ぶ。気付くと死人のような二日酔いを迎えている。

二日酔いの体に鞭打ってまた日本酒を口にするのは勇気がいるが、二日酔いには迎え酒が一番効く。

毎晩1升飲み続けて2週間経つと、夢と現実の境がなくなってくる。現実と、酔っている時の妄想と、眠っている時にみた夢の境があいまいになり、実際には会っていない人と話した記憶があったり、嫌いな人や活躍中の人たちが自分の悪口を言っているような被害妄想がやってくる。芸能人との交流を語るアル中は嘘をついている訳ではなく、夢のなかで本当に仲良く芸能人たちと交信し、それが現実だと勘違いしてしまっている。酒を飲み過ぎると体と頭が疲れ果て、様々な後遺症が襲いかかってくる。幻想と戯れる。

毛細血管や末端神経もやられ、手がしびれ、コップをもつ手がブルブル震える。酒が体に回ると手の震えは止まる。

日本酒の後遺症で毎日体中しびれまくったある夜、目が覚めると暗闇の中、天井を巨大なクモが這っていた。20センチほどのクモで、立ち上がって近くでみてもゆっくり歩いているが、そんなクモがいるはずないのはわかっている。

幻覚をみたから修行をやめた。

禁酒をするとボロボロになった体がみるみる回復していく。手の震えは5日で止まる。

禁酒して2週間経ち、すっきりした気分になった頃、突然体が膨らみ出した。全身の皮膚がブヨブヨにたるみ、まぶたが垂れて目が開かない。ひざの皮も段になって下に垂れている。

病院にはいかなかったからよくわからないが禁断症状かもしれない。はじめての経験に怯え、死ぬかもしれないと思ったが、嫌なにおいの紅茶のような小便が出た後、皮膚のたるみは数日かけてゆっくりと元に戻っていった。

人間の体がもつ回復力は強い。ずっと手が震えているようなアル中にはなかなかならない。

競輪場や大きな駅で、ボロボロになったアル中をたまに見掛けるが、彼らは飲酒時間が長い。長い時間をかけなければ、なかなかあそこまでにはなれない。ボロボロのアル中になるにはとにかく飲む。毎日飲む。そんなにたくさん飲む必要はなく、朝起きてから夜寝るまで昼も夜も時間をかけて飲む。飴玉をなめるように飲む。歯もみがかず、風呂にも入らず、けじめなく飲む。酒焼けと呼ばれる恒常的な赤ら顔にはちょっとやそっとの酒ではならず、長い長い時間をかけて肝臓組織が破壊されると酒焼けする。

私の周りにも一人そんなアル中がいてたまに電話をかけてきて本当に迷惑だ。一人でいられないアル中で、常に誰かに電話をしながら徳用の焼酎かウィスキーをストレートでなめるように飲み続けている。

彼は末端神経が完全にやられているので手の震えがひどい。会いたくないが、しつこいのでいやいや会うと必ずコーヒーや酒の入ったコップをこぼすので一緒にいるのが恥ずかしい。酒を飲むうちに、いつの間にか手の震えが止まり動きがなめらかになるのが笑えるが、一緒にいたくない。酔っていてもいなくても妄想は止まらず、いつも風俗嬢との恋愛を嬉しそうに語っているが、聞いていられず、一刻も早く家に帰りたい。一緒にいるところを誰かにみられたくない。

定期的に禁酒をし、1年に1度健康診断を受ければああいうアル中になることはない。健康でいられる。普通は、毎日歯をみがき、毎日風呂に入り、毎日下着を着替えるだけでもけじめがつき、ああはならない。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
4か月の禁酒

 

禁酒4か月を過ぎると、もうアル中ではない。飲まない日数を手帳に記していくよりも飲みに行った日数をメモした方が早い。退屈な日々だが、それが普通で、飲みに行くという選択肢はなくなった。

酒を飲まない人の気持ちがよくわかる。飲みに誘われるのが、どれほどわずらわしいかよくわかる。これまで私が飲みに誘い、断られた人たちの顔が浮かぶ。アル中は毎日飲むから誘われればすぐに出掛けて行くが、飲まない人にとってアル中の相手はしんどい。時間と金がもったいないので行きたくない。誘いを先延ばしにする人の気持ちが今はよくわかる。

元アル中の私にはアル中からの電話が今でもあり本当に迷惑だ。

「今、新宿で山田さんの話が出たから電話してみました。元気ですか? よかったらこれから出てきませんか?」

深夜の2時に1万円以上のタクシー代をかけて出ていくわけがない。もちろん電話に出ないので留守電が入るが折り返すことはない。同じ職場で働いたことのある男だが、何度も体を悪くしたと詳しく説明して断っているのに、アル中だから覚えることができない。私に電話をかけたことも覚えていない。

昼もかけてきて、メールもくるから逃げ切れず、昼に喫茶店で会った。末梢神経がいかれ、手の震えがひどく、コップを倒して水をこぼし、一緒にいるのが恥ずかしい。酒が抜けていないから声がでかい。新しい事業計画のアイデアや、かわいい女性がいるという飲み屋の話にうんざりした。待ち合わせ時間に遅れて来て、荷物が多く、煙草を吸って咳き込み、くしゃみがうるさく、行動に無駄が目立つ。結局、また探るようにしながら飲みに誘ってくるので断ると、

「つまんねえ人間になったな」

といわれた。

帰り間際にもトイレに行き、いちいち面倒くさいので勘定は私が払って先に帰った。

「今、新宿で山田さんの話が出たから電話してみました。元気ですか? よかったらこれから出てきませんか?」

また同じ文句が留守電に入る。携帯から私の番号を削除したい。(山田)
 

| chat-miaou | 01:01 |
1か月の禁酒

 

禁酒1か月を過ぎると全然飲みたいと思わない。朝からむくみがなく、体が軽くどこかに出掛けたくなり、雨の日をうらむ。

朝起きたらサントリーオールフリーを2本一気飲みする。すき家でもぎょうざの満洲でも、食前にノンアルコールビールを頼んで一気飲みする。1杯目の酒を飲みたい気持ちを常に台無しにしてしまう。

朝、すき家でまぜのっけごはんをつまみにノンアルコールビールを飲んでいると周囲から変な目でみられるのが嬉しい。

夜、ぎょうざの満洲で本物の酒を飲んでいる人の隣でノンアルコールビールを飲む敗北感も嬉しい。隣の人はもっと飲めば飲むほど体を悪くするが、私は健康だ。ローソンに寄ってノンアルコールビールを買って帰る時、年齢確認ボタンを押させられるのが、ままごとをしているみたいで楽しい。

本物のビールを11杯も飲むことはなかったのに、サントリーオールフリーを毎日5本以上飲んでいる。喉越しまでは本物のビールと同じなのに、その後の胃袋から戻ってくるアルコールの香りと涙目がこない。同じくアルコールもカロリーもゼロであるアサヒドライゼロは本物に近いアルコールの香りと泡にこだわっているが、私はアルコールの香りと泡にこだわらないので、サントリーオールフリーが気に入っている。軽くて飲みやすい。一気飲みに適している。

アル中は二重人格だ。

毎日飲んでいる時はずっと酔っ払っていたいのに、酒が完全に抜けると飲んでいた自分を否定する。

煙草と一緒だ。ニコチンが完全に抜けると他の人の煙草のにおいが気になる。せっかく抜けたニコチンが、人のせいで副流煙として自分の体に入ってくるのが許せない。人の吸った煙草の煙は、排気口のように吸わない人の口と鼻に向かって流れてくるようになっている。他人の体を通り抜けた煙が自分の体に入ってくるのも間接キスをしているようで気持ち悪い。翌日になっても服に煙草のにおいがしみつき、洗濯しなければ消えないのも頭にくる。

アルコールが完全に抜けると、酔っ払いをみていられない。人の話に過剰に反応し、全然面白くないのに手を叩いて笑っている。むくんだ赤いゆるんだ笑顔で同じ話ばかりしている。深夜に電話がかかってきて、せっかく話に付き合ってやっても酔っ払っているから翌日全く覚えていない。一人でいられない。酔っ払いは酔っ払い同士で時間を共有すべきであり、飲まない人にとって、酔っ払いとの時間は不快でしかない。

喫煙者への批判、アル中への批判はすべて自己肯定本能であり、自分への批判でもある。禁酒も禁煙も、ダイエットもドラッグも、ギャンブル中毒も借金も、抜け出している今だけの状況が嬉しくて、つい騒いでいるだけで、再び状況が悪化すれば本来の自分に戻っていく。(山田)
 

| chat-miaou | 01:01 |
禁酒の意味

 
 

3食食べていれば十分なのにつまみながら酒を飲み、酔っ払って満腹中枢がおかしくなってラーメンや菓子パンを食べる。

翌日、前夜の栄養が抜ける前から水を飲んだりメシを食うので体のむくみがとれない。

しかし、人それぞれ適正体重は元から決まっている。酒を飲まなければ自然に適正体重に戻っていく。

アル中が適正体重に戻るには2週間かかる。

2日や3日酒を抜いても傷ついた肝臓は回復しない。腎臓も傷ついている。排泄サイクルに時間がかかるのですぐにはむくみがとれない。

むくんだままにしておくと高血圧、脳梗塞、脳溢血、糖尿病になる。だから禁酒する。

禁酒2週間が過ぎると効果が出る。朝から体が軽く、頭痛がなく、ラジオ体操したい。水と空気がうまい。内臓回復には最低2週間かかると体でわかる。2週間経つと、ふと実感する。頭が正常になり、酒に起因する、ひがみ、妬み、怒り、憎しみ、などの被害妄想が消えていて穏やかな気持ちになっている。

太っているアル中と痩せているアル中がいる。

元々の適正体重もあるが、むくんでいるアル中はうまいものが好きで、鮨屋で舌鼓を打ったり、飲み終わってラーメンを食べたり、帰りにコンビニに寄ってお菓子や菓子パンを買う。

何も食べないアル中もいる。枝豆すら食べない。

何も食べないとスムーズに酔える。邪魔がないから酒のしみ込みがよく、クラクラして気持ちいい。時間が経つのが早く、朝まで軽やかに何軒もはしごできる。

何も食べないまま酔いつぶれると、翌朝、腹がへっこんでいる。

二日酔いだから迎え酒をする。

一度カラ酒を覚えるとくせになり、どんどん痩せていく。すべての栄養を酒からとるようになり、連続飲酒がはじまり、ずっと酔っ払っている。肝臓がクタクタになり、血液がにごる。手っ取り早く強い酒を飲むようになり、白目が濁り、血尿が出る。だから禁酒する。

体を壊すまで飲み切ってしまうか、体を壊さないように禁酒とアル中を繰り返すか。どちらも気持ちいいが、まだ先に何か面白いことが待っているような気がするから禁酒する。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
アル中レポート 2

 

アル中になるほど飲んではいけない。アル中になると、みなにバカにされ、陰口をいわれているという被害妄想に襲われる。これは完全な妄想とはいえない。被害妄想を語るレベルのアル中になると本当に周囲から煙たがられ、常にみなから陰口をいわれている。

アル中たちのストーリーは本当にくだらなく意味がない。

 

登場人物

A アル中

B 普通の人

●私 アル中

C アル中

D 普通の人

 

アル中Aが窃盗罪でつかまった。ちゃんとした大学を出ているのにアル中で、酔っ払ってスーパーで食べ物を持ち帰ろうとして捕まった。

あまり知られていないがアル中がつかまることは多い。連続飲酒による深く重い酔いで頭がやられ、現実と夢、善悪や損得の区別がつかなくなり、自分勝手に盗み、殴り、壊し、女性を襲う。本来そんなことをする人ではなかったが、誰にも相手にされなくなり、自分一人だけの判断力と妄想で犯罪に走る。

みな、最初は共通して、自分の好きなきれいな女性が自分のことを好きだと思いはじめる。二日酔いで面倒くさいからひげをそらなくなり、風呂に入らなくなり、年々、見掛けが浮浪者になっていくのに、自分はもてると思い込んでしまう。

暇だから、どうでもいい正義感で、どうでもいい知り合いのためにどうでもいい相手を殴り訴えられて事件になる。本来、どうでもいい話なので、酒が完全に抜ければ後悔する。

Aから話を聞いたBが「あいつは、本当のバカだ」といってあきれながら私に話した。

私は酒を飲んでいる時にアル中のCにその話をしてしまった。アル中は口が軽い。

Cは頭のストッパーが壊れているので、いっていいことと悪いことの区別がつかない。万引きの話を飲む度にして、今では知らない人はいない。

そのうちにCがそんな話をしていることがAに伝わり、Aは激怒した。

Cに万引きの話をしたのは誰だ、と犯人探しがはじまった。Aが日ごろからいじめているDに違いないということになり、ADを問い詰め、Dは否定した。

Dは正しい。Cに万引きの話をしたのはこの私だ。

CAに謝ることになった。それでも、万引きの話を聞いたのはDからではないと、CDをかばった。

とても面白いのは、Cは万引きの話を聞いたのが私からだと覚えていない。

かかわりたくないので私も余計なことはいわなかった。

本当にアル中たちの話はくだらなく、意味がなく、レベルが低い。酒を飲む以外にすることがないからどうでもいいことにいつまでも怒り、時間を費やし、ずっと同じ話をしている。

悪いのは誰か。ABCDと私は全員知り合いである。Dだけが若者で、他はみな40代で同級生だ。

●万引き事件を起こしたアル中A

●万引き事件をBやDに話したアル中A

●万引き事件をアル中の私に話したB

●万引き事件をアル中のCに話したアル中の私

●万引き事件をみなに広めたアル中のC

●万引き事件を最初に人に話したのは自分のくせにいつまでもすることがないから酒を飲みながら怒り狂い続けるアル中A

みんな悪い。そしてレベルが低い。

Dだけは何も悪くないのに殺される思いをした。それでもDはAから離れられない。いじめられるのが好きなのだ。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
アル中レポート 1

 

かっこいいアル中なんていない。 

そのスナックには何度か行った。以前は有名人が通う店で、ママは芸能人との交流ばかり話したが、それは全て20年前の話だった。壁には芸能人がママと撮った大昔の写真がたくさん並んでいる。

その店でも飲んだし、一緒に他の店で飲む機会も多かったので彼女と携帯番号を交換したが、教えるんじゃなかった。

彼女はいつも「眠れない」といった。

夜中まで働いているのだから夜眠れないのは普通なのに、彼女はどうしても夜眠りたい。夜中の2時まで働き、3時に寝るなんて普通はできない。サラリーマンが6時に仕事を終えて7時に寝るなんてことはない。

「眠くなるまで起きていればいいじゃないですか」

著名な精神科医を取材したことがあり、人は1日ぐらい眠らなくても平気だという。

彼女は「夜眠らないと疲れがとれない」といった。私はああいえばこういうパターンの会話が大嫌いなので、彼女と話をするのはやめ、店に行くのもやめた。彼女の話は本当にしつこい。しかもアル中だから翌日には覚えていない。話す意味がない。言葉も気持ちも伝わっていない。それでも話は終わらない。疲れるし面倒くさい。

彼女はいつも酒に酔って店で寝ていた。客の横でも寝ていたし、暇な時はソファで横になって寝ていた。ずっと眠っていられる人間なんていない。4時間から7時間の睡眠時間が普通で、それ以上はよっぽどの体力がある人か、若者か、規則正しい生活をしないと眠れない。

酒に加え、睡眠薬に手を出し、いつもろれつが回らなくなった。

「客が来ない」と私のところに電話を掛けて寄こし、10分以上一人で話し続けているので電話を切ろうとすると「切るんじゃねえ!」と叫び発狂し、客の悪口と意味不明な話が永遠に続くので電話を切って着信を無視すると、1日に20回も「訴える」とか「出禁だ」いうショートメールが届いた。私は彼女の手を握ったこともないし、少しも全然好意をもっていないので、本当に迷惑だった。

知り合いの中里さんが私の悪口をいっているという。その内容は本当にひどいもので、とても素面では話せる内容ではなかった。彼女はいってはならないことをいい、そういうことをいえばいうほど自分を追い込んでいった。私にだけではない。他の人たちにはいってはいけないことをいった。酔いがさめる度に救いようのない自己嫌悪に陥った。酒に睡眠薬で完全に記憶が飛び、メールの記録だけがそのままはっきりと残っている。電話したことさえ覚えていない。彼女を相手にする人はいなくなり、彼女は死ぬしかなくなった。

派手な女性だったが店が潰れると一気に老け込んだ。

「いきなり腰の曲がった白髪のおばあさんに話し掛けられて、よくみると彼女だった」

酔って転んで腰を打ったらしい。常連客が目撃した数日後、首吊り自殺した。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
死ぬしかないアル中

 

飲み仲間から電話があり、中野さんが死んだという。飲み仲間は葬儀の予定を知らせてきたが途中で「もういいや、葬式なんて行かないから」と話を止めた。

中野さんを酒場でよく見掛けたが個人的には二度しか飲んだことがない。

飲み仲間に紹介されて中野さんと3人で飲んだから電話してきたのだが、私は中野さんが大嫌いで今も大嫌いだ。全然悲しくないし何とも思わない。当然だし、死ぬしかなかったし、もう酒場で偶然会ってしまう心配がなくなったから気が楽になって嬉しい。

中野さんを紹介されてしばらくして、居心地のいい行きつけの酒場で偶然中野さんに会い、二人で飲んだ。何度も肩をたたかれ、握手され、そのまま朝まで閉店するまで飲んで奢ってくれた。

それからまたしばらくして、行きつけのバーに入ると中野さんが飲んでいて、声を掛けると「うるせえ!」と怒鳴られた。

中野さんはアル中だった。「二度と話し掛けんじゃねーぞ、わかったな」とからんできた。

私がびっくりしてどうしていいかわからないでいると「こっち見んじゃねーよ、気持ち悪ぃーなあ」

私をずっとにらみつけていう。そんなことをいわれる筋合いはない。普通はそんなこといえない。人の顔を「気持ち悪い」なんていってはいけないことをいっている。二度目に飲んだ時に笑顔で親し気に声を掛けてきたのは中野さんの方だった。アル中は前の晩のことを何も覚えていない。自分がどんなひどいことをしたか覚えていない。

いたたまれなくなり、私は店を出て、それから中野さんと口をきいたことは一度もない。そんな人間の葬式になんて行くわけがない。中野さんを避けるようにしてきたし、酒場で遭遇してしまうとコソコソと早めに先に店を出た。

近いうちに死ぬな、とわかっていた。酒場でいってはいけないことをいう人がいる。目つきがおかしく、抵抗できない弱い者にネチネチとからむ。ちゃんと相手の目をみながらいってはいけないことをいうのは、もうすでに狂っているからだ。

若い女の子に「やらせろ」という。絶対に立ち向かってこないとわかっている相手を殴る。自分は動かずに、手振りでこまごまと人を動かして使う。こういう人は近いうちに肝硬変か脳溢血か薬を飲むレベルのうつ病になって自殺する。

アルコール摂取が限界まできていて脳と肝臓が耐えられず、それが異常行動となってあらわれる。無自覚だが体がいうことをきかず、そのうっぷんで八つ当たりをしている。人格をコントロールできなくなり、取り返しのつかない病気となって発病する。

何人かまじかでこういうことをする人をみてきたからよくわかる。それなりのポジションにいて部下がいる。仕事のできる人格者だった。酒が彼らを廃人にした。

時間をかけて、気付かないペースで、少しづつ酒が彼らの頭をおかしくする。相当な時間がかかるから40歳以下でこういうなる人はいない。下から慕われ指導していた。丁寧な指導が命令にかわる、それから暴言にかわっていった。

毎日大量に飲む。酒をやめれば元に戻るがここまできてしまうと自力で酒をやめることはできない。酒をやめて普通に戻るより泥酔したい。普通に戻ってもずっと苦しい。今さら普通に戻れないほど飲んできた。

中野さんは人気の医者で感謝している人も尊敬している人も多かった。

むくんで、太って大きくなって、狂って心臓発作を起こして死んだ。家族と仲間と部下たちには慕われたまま死んだが、何の力もない弱い被害者たちからは疎まれ恨まれた。こっちだって顔をみるのも嫌だったから飲みに行きづらく本当に迷惑で、ずっと早く死んで欲しかった。本来はそんな人間ではなかったのだから早く死んだ方がいい。(山田)

 

 

| chat-miaou | 08:01 |
ウザイ奴

 

人からよくウザイと言われる。

「よく見掛けるけど、ウザイよ」 

何様のつもりか、私の顔をみながら堂々と言う。地元の居酒屋でそんな無礼なことを言われたことは一度もなく、都内の業界バーで言われることが多い。

実力がないから、才能と実力のある人たちに憧れ、若い頃からそういうバーにばかり出入りしてきたのでそう思われるらしい。

しかし、私は自分で飲み代を払っているし、店から出入りを禁じられているわけでもない。店の人たちと仲良くやっているから会いに行きたくなる。だからそういうことを言われるのは迷惑で悲しく、心外でもある。毎回とても傷ついているし、しばらく後を引く。頼むから人の時間に入ってこないで欲しい。私が彼らに話し掛けたことはないし、そんな侮辱をされる筋合いがない。こっちだってできることはみんなやってみたが結果が出せなかった。私の存在自体がウザイのであって、そんなことを否定されてもどうしようもない。

そういうことを言う人たちがしばらくすると必ず病気になるのが面白い。それも、死んだり、障害者になるほどの重症で再起不能になる。私にからんだから病気になるのではなく、弱者にからむほど酒で頭がおかしくなっている。私以外にもからんでいる。やってはいけないことをやっている。必ず脳か肝臓の病気と決まっている。

発病する寸前まできている。彼らに共通しているのは、偉くてアル中である。才能があって仕事ができるから偉くなったのであり、大仕事を終える度に興奮を癒すために酒を飲み、次第に酒に飲まれるようになっていき、頭をやられ、自分をコントロールできなくなり、無抵抗な弱い者いじめをするまでになってしまった。怒っているのにどこか余裕があって笑っている。弱い者をいびってささやかな快楽を得ている。

彼らについて語られているのをみたり、彼らについて書かれたものを読むと、みなから慕われ、絶賛されていて、私に対する態度とは違う。偉くて、金も地位もあるから常に取り巻きがいて自分の帝国のようなものができあがっている。

元々はそんなレベルの低い人ではなかった。本来は弱者にやさしかったからこそ慕われた。慕われて褒められて酔っ払っておかしくなった。

酒場で弱い者に「ウザイ」とからんでいる人を見掛けたら要注意だ。もう褒めている場合ではない。末期症状のはじまりで、終わりが近い。すぐに酒をやめて病院で検査を受けて欲しい。すぐに褒めるのはやめて病院に連れていってやってください。(山田)

 

 

| chat-miaou | 07:01 |