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失禁

 

数年前の深夜、銀座から池袋までタクシーに乗り、池袋に着くと金がないことに気づいた。

「あ、金ないや」

とつぶやくと、

「この野郎! 無賃乗車じゃねーか!」

と運転手がすごい剣幕で怒り出し、驚いた私は思考回路が切れてしまった。

そのまま池袋警察署に連れていかれ、警察官に住所と名前を聞かれたが、自分の住所も名前もどうしても思い出せず、ただ時間だけが過ぎていった。

時間が経って落ち着いてくると名前も住所も答えられるようになり、落ち着いてみればキャッシュカードがあるので何の問題もなく、タクシーの運転手に支払いを済ませやっと解放された。酒をやめようかな、と本気で思った。

そして先日、都内のおしゃれなバーで一人泥酔し、酔い潰れた。

女性の悲鳴で目を覚ますと、カウンター席でズボンをはいたまま小便をもらしている私がいた。白いズボンをはいていたので、失禁が目立った。アルバイトのお嬢さんの軽蔑の眼差しが忘れられない。死にたくなるほどみじめで、本気で酒をやめなければならない時がきたとわかった。

長く禁酒し、尊敬する遊び人に誘われ上京した。

話したいことがたくさんあるので喜んで出掛けたが、あまり飲む気がしない。小便をもらしたのも禁酒明けの酒だった。

せっかくアル中から抜け出せたのだから、これからは上手に飲みたい。記憶がなくなるような飲み方はもうたくさんだ。昔は酒がなければ人と話をできなかったが、今は酒なしでも平気になった。

遊び人の先輩に会えば、朝まで飲むに決まっている。長時間飲むから泥酔して失敗する。

ガラガラの上り終電車に乗って出掛け、ガラガラの下り始発電車で帰ってきた。ハシゴすることなく一軒でじっくりとビールを10杯飲み、記憶をなくさないように気をつけながら二人でいろんな話をした。

20代に朝まで飲んでいた仲間たちは死んだり、病気になったり、今でも酒を飲んでいる人はいない。それほど酒は恐ろしい。飲み過ぎれば必ず体を壊す。仲間を裏切るような気もするが、私はこのまま健康でいる。一人なので病気をするわけにもいかない。

ギャンブルに続いて酒もやめることができた。退屈だが分相応だろう。これで楽に生き抜ける。(山田)


 

| chat-miaou | 01:01 |
禁断症状
 



白洲正子が若い頃、修業だと思って毎晩日本酒を1升は飲んだ、というのを読んだ時、死ぬほど日本酒が飲みたくなった。

日本酒の酔いは後から後からぐんぐんと、どんよりと重くやってくる。途中から、酔いの先に何があるのか、その先に飛び込むような気分になる。どうにでもなれ、という気分で、1時間もすると消化が酔いにおいつけなくなり記憶が飛ぶ。気付くと死人のような二日酔いを迎えている。

二日酔いの体に鞭打ってまた日本酒を口にするのは勇気がいるが、二日酔いには迎え酒が一番効く。

毎晩1升飲み続けて2週間経つと、夢と現実の境がなくなってくる。現実と、酔っている時の妄想と、眠っている時にみた夢の境があいまいになり、実際には会っていない人と話した記憶があったり、嫌いな人や活躍中の人たちが自分の悪口を言っているような被害妄想がやってくる。芸能人との交流を語るアル中は嘘をついている訳ではなく、夢のなかで本当に仲良く芸能人たちと交信し、それが現実だと勘違いしてしまっている。酒を飲み過ぎると体と頭が疲れ果て、様々な後遺症が襲いかかってくる。幻想と戯れる。

毛細血管や末端神経もやられ、手がしびれ、コップをもつ手がブルブル震える。酒が体に回ると手の震えは止まる。

日本酒の後遺症で毎日体中しびれまくったある夜、目が覚めると暗闇の中、天井を巨大なクモが這っていた。20センチほどのクモで、立ち上がって近くでみてもゆっくり歩いているが、そんなクモがいるはずないのはわかっている。

幻覚をみたから修行をやめた。

禁酒をするとボロボロになった体がみるみる回復していく。手の震えは5日で止まる。

禁酒して2週間経ち、すっきりした気分になった頃、突然体が膨らみ出した。全身の皮膚がブヨブヨにたるみ、まぶたが垂れて目が開かない。ひざの皮も段になって下に垂れている。

病院にはいかなかったからよくわからないが禁断症状かもしれない。はじめての経験に怯え、死ぬかもしれないと思ったが、嫌なにおいの紅茶のような小便が出た後、皮膚のたるみは数日かけてゆっくりと元に戻っていった。

人間の体がもつ回復力は強い。ずっと手が震えているようなアル中にはなかなかならない。

競輪場や大きな駅で、ボロボロになったアル中をたまに見掛けるが、彼らは飲酒時間が長い。長い時間をかけなければ、なかなかあそこまでにはなれない。ボロボロのアル中になるにはとにかく飲む。毎日飲む。そんなにたくさん飲む必要はなく、朝起きてから夜寝るまで昼も夜も時間をかけて飲む。飴玉をなめるように飲む。歯もみがかず、風呂にも入らず、けじめなく飲む。酒焼けと呼ばれる恒常的な赤ら顔にはちょっとやそっとの酒ではならず、長い長い時間をかけて肝臓組織が破壊されると酒焼けする。

私の周りにも一人そんなアル中がいてたまに電話をかけてきて本当に迷惑だ。一人でいられないアル中で、常に誰かに電話をしながら徳用の焼酎かウィスキーをストレートでなめるように飲み続けている。

彼は末端神経が完全にやられているので手の震えがひどい。会いたくないが、しつこいのでいやいや会うと必ずコーヒーや酒の入ったコップをこぼすので一緒にいるのが恥ずかしい。酒を飲むうちに、いつの間にか手の震えが止まり動きがなめらかになるのが笑えるが、一緒にいたくない。酔っていてもいなくても妄想は止まらず、いつも風俗嬢との恋愛を嬉しそうに語っているが、聞いていられず、一刻も早く家に帰りたい。一緒にいるところを誰かにみられたくない。

定期的に禁酒をし、1年に1度健康診断を受ければああいうアル中になることはない。健康でいられる。普通は、毎日歯をみがき、毎日風呂に入り、毎日下着を着替えるだけでもけじめがつき、ああはならない。(山田)



| chat-miaou | 11:00 |
4か月の禁酒

 


禁酒4か月を過ぎると、もうアル中ではない。飲まない日数を手帳に記していくよりも飲みに行った日数をメモした方が早い。退屈な日々だが、それが普通で、飲みに行くという選択肢はなくなった。

酒を飲まない人の気持ちがよくわかる。飲みに誘われるのが、どれほどわずらわしいかよくわかる。これまで私が飲みに誘い、断られた人たちの顔が浮かぶ。アル中は毎日飲むから誘われればすぐに出掛けて行くが、飲まない人にとってアル中の相手はしんどい。時間と金がもったいないので行きたくない。誘いを先延ばしにする人の気持ちが今はよくわかる。

元アル中の私にはアル中からの電話が今でもあり本当に迷惑だ。

「今、新宿で山田さんの話が出たから電話してみました。元気ですか? よかったらこれから出てきませんか?」

深夜の2時に1万円以上のタクシー代をかけて出ていくわけがない。もちろん電話に出ないので留守電が入るが折り返すことはない。同じ職場で働いたことのある男だが、何度も体を悪くしたと詳しく説明して断っているのに、アル中だから覚えることができない。私に電話をかけたことも覚えていない。

昼もかけてきて、メールもくるから逃げ切れず、昼に喫茶店で会った。末梢神経がいかれ、手の震えがひどく、コップを倒して水をこぼし、一緒にいるのが恥ずかしい。酒が抜けていないから声がでかい。新しい事業計画のアイデアや、かわいい女性がいるという飲み屋の話にうんざりした。待ち合わせ時間に遅れて来て、荷物が多く、煙草を吸って咳き込み、くしゃみがうるさく、行動に無駄が目立つ。結局、また探るようにしながら飲みに誘ってくるので断ると、

「つまんねえ人間になったな」

といわれた。

帰り間際にもトイレに行き、いちいち面倒くさいので勘定は私が払って先に帰った。

「今、新宿で山田さんの話が出たから電話してみました。元気ですか? よかったらこれから出てきませんか?」

また同じ文句が留守電に入る。携帯から私の番号を削除したい。(山田)
 

| chat-miaou | 07:01 |
1か月の禁酒

 


禁酒1か月を過ぎると全然飲みたいと思わない。朝からむくみがなく、体が軽くどこかに出掛けたくなり、雨の日をうらむ。

朝起きたらサントリーオールフリーを2本一気飲みする。すき家でも餃子の満洲でも、食前にノンアルコールビールを頼んで一気飲みする。1杯目の酒を飲みたい気持ちを常に台無しにしてしまう。

朝、すき家でまぜのっけごはんをつまみにノンアルコールビールを飲んでいると周囲から変な目でみられるのが嬉しい。

夜、餃子の満洲で本物の酒を飲んでいる人の隣でノンアルコールビールを飲む敗北感も嬉しい。ローソンに寄ってノンアルコールビールを買って帰る時、年齢確認ボタンを押させられるのが、ままごとをしているみたいで楽しい。

本物のビールを11杯も飲むことはなかったのに、サントリーオールフリーを毎日5本以上飲んでいる。喉越しまでは本物のビールと同じなのに、その後の胃袋から戻ってくるアルコールの香りと涙目がこない。同じくアルコールもカロリーもゼロであるアサヒドライゼロは本物に近いアルコールの香りと泡にこだわっているが、私はアルコールの香りと泡にこだわらないので、サントリーオールフリーが気に入っている。軽くて飲みやすい。一気飲みに適している。

アル中は二重人格だ。

毎日飲んでいる時はずっと酔っ払っていたいのに、酒が完全に抜けると飲んでいた自分を否定する。

煙草と一緒だ。ニコチンが完全に抜けると他の人の煙草のにおいが気になる。せっかく抜けたニコチンが、人のせいで副流煙として自分の体に入ってくるのが許せない。煙草の煙は吸わない人に向かって流れてくるようにできている。他人の体を通り抜けた煙が自分の体に入ってくるのも間接キスをしているようで気持ち悪い。翌日になっても服に煙草のにおいがしみつき、洗濯しなければ消えないのも頭にくる。

アルコールが完全に抜けると、酔っ払いをみていられない。人の話に過剰に反応し、全然面白くないのに手を叩いて笑っている。むくんだ赤いゆるんだ笑顔で同じ話ばかりしている。深夜に電話がかかってきて、せっかく話に付き合ってやっても酔っ払っているから翌日全く覚えていない。一人でいられない。酔っ払いは酔っ払い同士で時間を共有すべきであり、飲まない人にとって、酔っ払いとの時間は不快でしかない。

喫煙者への批判、アル中への批判はすべて自己肯定本能であり、自分への批判でもある。禁酒も禁煙も、ダイエットもドラッグも、ギャンブル中毒も借金も、抜け出している今だけの状況が嬉しくて、つい騒いでいるだけで、再び状況が悪化すれば本来の自分に戻っていく。(山田)

 

| chat-miaou | 06:01 |
禁酒の意味

 
 

3食食べていれば十分なのにつまみながら酒を飲み、酔っ払って満腹中枢がおかしくなってラーメンや菓子パンを食べる。

翌日、前夜の栄養が抜ける前から水を飲んだりメシを食うので体のむくみがとれない。

しかし、人それぞれ適正体重は元から決まっている。酒を飲まなければ自然に適正体重に戻っていく。

アル中が適正体重に戻るには2週間かかる。

2日や3日酒を抜いても傷ついた肝臓は回復しない。腎臓も傷ついている。排泄サイクルに時間がかかるのですぐにはむくみがとれない。

むくんだままにしておくと高血圧、脳梗塞、脳溢血、糖尿病になる。だから禁酒する。

禁酒2週間が過ぎると効果が出る。朝から体が軽く、頭痛がなく、ラジオ体操したい。水と空気がうまい。内臓回復には最低2週間かかると体でわかる。2週間経つと、ふと実感する。頭が正常になり、酒に起因する、ひがみ、妬み、怒り、憎しみ、などの被害妄想が消えていて穏やかな気持ちになっている。

太っているアル中と痩せているアル中がいる。

元々の適正体重もあるが、むくんでいるアル中はうまいものが好きで、鮨屋で舌鼓を打ったり、飲み終わってラーメンを食べたり、帰りにコンビニに寄ってお菓子や菓子パンを買う。

何も食べないアル中もいる。枝豆すら食べない。

何も食べないとスムーズに酔える。邪魔がないから酒のしみ込みがよく、クラクラして気持ちいい。時間が経つのが早く、朝まで軽やかに何軒もはしごできる。

何も食べないまま酔いつぶれると、翌朝、腹がへっこんでいる。

二日酔いだから迎え酒をする。

一度カラ酒を覚えるとくせになり、どんどん痩せていく。すべての栄養を酒からとるようになり、連続飲酒がはじまり、ずっと酔っ払っている。肝臓がクタクタになり、血液がにごる。手っ取り早く強い酒を飲むようになり、白目が濁り、血尿が出る。だから禁酒する。

体を壊すまで飲み切ってしまうか、体を壊さないように禁酒とアル中を繰り返すか。どちらも気持ちいいが、まだ先に何か面白いことが待っているような気がするから禁酒する。(山田)

 

| chat-miaou | 05:01 |
やさしい人

 

たまに昔の知り合いから酒の誘いがあるが断っている。

お前の顔なんてみたくない、とはっきり言った方がいいのだが、そんなこと言ってしまったら、相手を傷つけてしまいそうでかわいそうで言えるはずがない。

そういう人は1人や2人ではないから、私もおかしいのだとわかってはいるが、会いたくないものは会いたくない。変な人たちに好かれるタイプらしい。会ったって全然楽しくないし、連絡がくるだけで頭にくるほどの人と絶対に会いたくない。なぜ、いつまでも連絡してくるのか不思議でならない。

酒をおごってくれる、というのだが、私は酒などおごってもらいたくない。

「がんばり過ぎないでいいんだよ」などと書いて寄越す者もいる。父の介護のことをいっているのだが、私は彼にそんな話をしたくない。彼は自分がやさしいつもりで、「相談に乗る」とか「愚痴をいって楽になりなよ」などと言うのだが、迷惑でしかない。彼のことをやさしいなどと思ったことはこれまで一度だってない。何がそうさせるのか、ひっそり生きたい人を認めてくれない。私は彼と一生会いたくないし、一生会わないし、友達だと思っていない。

勇気をふりしぼって「連絡してくれなくていいよ、もう会うこともないと思う」と言ったがわかってもらえない。それ以上のきつい言い方はできないからもうあきらめた。

信じてもらえないが私は全然少しも淋しくないし、相談に乗ってもらいたくない。できるだけ受け答えも返事もせず、彼らの頭から私の記憶を消す精一杯の努力をしているのだが、いつまでも連絡してくる。最近は頭がおかしくなったふりをして、返事もしないようにしているが、そういうことをするのは疲れる。

人のことが気になって仕方がなくいつまでも連絡してしまう。私から彼らに連絡したことは一度もないし、連絡先すら知らない。精神科の医師は彼らのことをどう診断するのだろう。

津波で家を失った父はひと月以上避難所で暮らした。とてもやさしいボランティアの人が父に毎回食事を運んでくれた。

父はそれが嫌で仕方がなかった。やはり私と父は似ている。父は小食で、避難所ではさらに食欲がなく、メシが喉を通らなかった。昔から悩み事があると1日で梅干し1個なんていうこともあり、食べなくてもいられる人で、今は薬を飲むために食事をしている。

「食べたくない」「食べられない」と頼んでも認めてもらえず、「後で食べる」とウソをついても信じてもらえず、親切な人は父が食べるまで父のそばを離れず、父はその人を恨んだ。これは親切といえるのだろうか。避難所を出た父は泣きそうな顔で私に悔しさを語った。あの時、ボランティアの人たちは100パーセントありがたい存在だった。

牛乳を飲めない体質の人がいる。牛乳を消化吸収できないから下痢をする。私も祖母もそうだった。義務教育を終えてから牛乳を飲んだことはない。中学卒業までに牛乳が原因で何度か学校で糞をもらした。牛乳を飲んだ後の体育の授業は脂汗をかいた。今は変わっただろうが、70年代、80年代は無理矢理給食を食わせる教育が普通で、残さず食べ終わらないと午後の授業が始まっても机の上に給食の皿が並んでいた。

津波から何年も経つというのに、父のところにまだその人から心配と応援する連絡があり、父は一貫して完全無視をつらぬいている。父からその人に連絡したことは一度もない。

病院に行った方がいい。(山田)

 

 

| chat-miaou | 04:01 |
悪口はいわない

 
 

尊敬する人たちにもいわれてきたし、どんな本にも書いてある。

「人の悪口はいわない」

昔の恋人や友達を悪くいうのは過去の自分への批判でもある。人の悪口をいう人間は、よそで自分の悪口もいっている。物心ついた頃からそんな言葉たちが頭に焼き付いていて、だから悪口をいわないできたが、実は悪口はどんどんいった方がいい。悪口は意思表示であり、自己防衛でもある。

以前勤めていた会社の小沢さんから連絡があり、私が以前かかわった出版物の権利に関する相談があるというので銀座へ出た。

相談は15秒ぐらいで、仕事の話などいっさいなく、ただの飲み会で騙された。私の嫌いな松岡も来ていて、がっかりした。

銀座で飲み、小沢さんが経費でおごってくれ、タクシーで新宿に出た。彼らは私に有名な業界バーを案内させたいだけなので、できるだけ有名人に会えないバーばかりをはしごした。彼らの近況なんて全然知りたくもない。私の近況も話したくない。私には「懐かしい」とか「会いたい」などという人間らしい気持ちがない。過去の自分の写真も人の写真も一枚も持っていない。「くだらない」とか「大きなお世話だ」とか「早く帰りたい」という氷のような気持ちは人一倍強い。長く人と話をしているとムカムカして殴りかかりたくなってしまうので極力人と接しない。

小沢さんは、私が松岡を嫌いなことを知らない。私は松岡の悪口をいったことがないから誰も知らない。

松岡はいつも金を払わない。勘定になると寝込んだふりをしたり、トイレに行く。彼が自分から財布を出すことは絶対になく、根負けした私がいつも払わされる。

この日、新宿の数軒も私が勘定を払わされた。金を払わない人間はみな敵だ。

遅い時間になってしまったので池袋の5000円のラブホテルに一人で泊まった。こんなことをしている身分ではない。無駄な時間を過ごし、ムカムカするのでホテルのベッドから小沢にショートメールを送信した。

「今日は本当に楽しくなかったです。俺は松岡が大嫌いだ。俺が金を払うなんておかしい。もう誘わないでください」

翌日に返事がきた。

「失礼しました(笑)。今度埋め合わせします」

今度なんてない。全く言葉が通じない。(山田)

| chat-miaou | 03:01 |
飲み屋でホラを吹く人

 

スナックでテレビをみていたら人気俳優の松川さんが出ていたので、

「俺、松川さんと飲んだことあるよ」

というと、隣で飲んでいた斉藤君が、

「またはじまった」

と不機嫌な顔をして私をみた。

松川さんといつどれくらいの時間飲んだのか、何を話したのか、写真があるはずだ、松川さんに電話しろ、と追及がはじまった。

「どこで飲んだんですか?」「六本木」「なんていう店ですか?」「ホワイト」

斉藤君はスマホで検索をはじめた。

「そんな店、ないじゃないですか!」「今はもうない」

証拠として六本木に連れていけ、松川さんをここへ連れてこい、としつこく、私にどうしてもウソだと認めさせたい。

しつこくて、どうでもいいので、「わかった。それでいいよ。ウソでいいよ」とウソを認めさせられると、斉藤君は「やっとウソを認めたか」という感じでハーッとため息をついた。

「ウソだと認めるんですね?」「うん、それでいい」

わけがわからない。

「何のためにそんなウソをつくんですか?」

それから今度はどうしてウソばかりつくのか追及がはじまり、年下から一方的に説教を受け、私は人の興味を引きたくてつい芸能人に会ったとウソをついてしまうということにされ、認めさせられた。

斉藤君はあきれて首を振っていたが、あいつはいったい何者なのか。何のためにあんなことをしているのだろうか。偶然隣り合わせただけの若者だが二度と会いたくない。(山田)

 

 

| chat-miaou | 02:02 |
アル中レポート 3

 

アル中になるほど飲んではいけない。アル中になると、みなにバカにされ、陰口をいわれているという被害妄想に襲われる。これは完全な妄想とはいえない。被害妄想を語るレベルのアル中になると本当に周囲から煙たがられ、常にみなから陰口をいわれている。

アル中たちのストーリーは本当にくだらなく意味がない。

 

登場人物

A アル中

B 普通の人

●私 アル中

C アル中

D 普通の人

 

アル中Aが窃盗罪でつかまった。ちゃんとした大学を出ているのにアル中で、酔っ払ってスーパーで食べ物を持ち帰ろうとして捕まった。

あまり知られていないがアル中がつかまることは多い。連続飲酒による深く重い酔いで頭がやられ、現実と夢、善悪や損得の区別がつかなくなり、自分勝手に盗み、殴り、壊し、女性を襲う。本来そんなことをする人ではなかったが、誰にも相手にされなくなり、自分一人だけの判断力と妄想で犯罪に走る。

みな、最初は共通して、自分の好きなきれいな女性が自分のことを好きだと思いはじめる。二日酔いで面倒くさいからひげをそらなくなり、風呂に入らなくなり、年々、見掛けが浮浪者になっていくのに、自分はもてると思い込んでしまう。

暇だから、どうでもいい正義感で、どうでもいい知り合いのためにどうでもいい相手を殴り訴えられて事件になる。本来、どうでもいい話なので、酒が完全に抜ければ後悔する。

Aから話を聞いたBが「あいつは、本当のバカだ」といってあきれながら私に話した。

私は酒を飲んでいる時にアル中のCにその話をしてしまった。アル中は口が軽い。

Cは頭のストッパーが壊れているので、いっていいことと悪いことの区別がつかない。万引きの話を飲む度にして、今では知らない人はいない。

そのうちにCがそんな話をしていることがAに伝わり、Aは激怒した。

Cに万引きの話をしたのは誰だ、と犯人探しがはじまった。Aが日ごろからいじめているDに違いないということになり、ADを問い詰め、Dは否定した。

Dは正しい。Cに万引きの話をしたのはこの私だ。

CAに謝ることになった。それでも、万引きの話を聞いたのはDからではないと、CDをかばった。

とても面白いのは、Cは万引きの話を聞いたのが私からだと覚えていない。

かかわりたくないので私も余計なことはいわなかった。

本当にアル中たちの話はくだらなく、意味がなく、レベルが低い。酒を飲む以外にすることがないからどうでもいいことにいつまでも怒り、時間を費やし、ずっと同じ話をしている。

悪いのは誰か。ABCDと私は全員知り合いである。Dだけが若者で、他はみな40代で同級生だ。

●万引き事件を起こしたアル中A

●万引き事件をBやDに話したアル中A

●万引き事件をアル中の私に話したB

●万引き事件をアル中のCに話したアル中の私

●万引き事件をみなに広めたアル中のC

●万引き事件を最初に人に話したのは自分のくせにいつまでもすることがないから酒を飲みながら怒り狂い続けるアル中A

みんな悪い。そしてレベルが低い。

Dだけは何も悪くないのに殺される思いをした。それでもDはAから離れられない。いじめられるのが好きなのだ。(山田)

 

 

| chat-miaou | 02:01 |
アル中レポート 2

 
 

アル中の話は全く面白くないのでみんな聞いてくれない。アル中本人は酔っ払って現実と妄想の区別がなくなっていて、嘘をついてでも人の興味をひいて話を聞いてもらいたい。

近所のスナックで人のカラオケを聞いていると、汚いおやじが「この歌、俺が作った」と言い出した。

ママが「え! お兄さん、作詞家の方?」と驚いたが「作曲」などと言っている。ママは半信半疑ながらも驚き興味津々だったが、そのうち調子にのって中村八大の曲まで「これも俺」などと言ってしまい嘘が確定されてしまった。こうしてアル中は、ますます人に話を聞いてもらえなくなっていく。

他の店にもこういう人たちがいる。町のスナックには自称作詞家や作曲家、作家、ヤクザ、大金持ちなどがたくさんいる。

小学校の先生だと言って教育を語るアル中に翌日ガードマンをしているところで会ってしまい、おやじは私から目をそらした。

妄想系アル中の特徴は「服装に色がない」「話が長く、おちがない」「目の焦点が合っていない」「ニコニコしながら嬉しそうに語る」「歯が少ない」「アメリカと韓国人を憎み、ロシアが好き」「革命を語る」など、多くの共通点がみられる。

芸能人との交流を自慢するアル中も多い。有名俳優と幼馴染みだったり同級生だったり、飲み友達だったり、旅行をする仲だったが、今では全く付き合いがない。

先日、六本木のバーで酔っ払っていると、眼鏡をかけた若者が、「山田さん、久しぶり!」といって私に握手してきた。

手を握ったまま、顔をみてもわからないが、みたことはある気がする。

「どこで会いましたっけ?」「え! 覚えてないんですか? この間、芝浦のスナックで、僕のDVD一緒にみてくれたじゃないですか」

全然覚えていないが、確かに彼の言うように、その日、私は芝浦のスナックで酔いつぶれた。

話しているうちに気づいたが、彼はテレビで人気の俳優で、彼が私のことなどを認識しているのが不思議で、彼も自分のことを認識できない日本人の存在に驚いていた。

翌日、近所のスナックで晩酌していると、彼がテレビに出ていた。

「あ、俺、この人と昨日、朝まで飲んだ」

とママに自慢しようとすると、「ふーん」とママは興味なさげで私の顔をみることもなかった。(山田)
 

| chat-miaou | 01:01 |