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なるほど! 整理術 人の家編

 
 

家の前が散らかっているとほうきをもち出して掃除する。

分別ゴミができていない袋をみると、変人扱いされない程度に袋を開けて分別する。

ゴミを漁っているのではない。人のゴミに興味がないし、欲しいものが捨てられていても、捨てた人が嫌だろうからもち帰らない。

燃えるゴミの中に空き缶が入っていると業者がもっていってくれない。朝、ゴミを出してから業者がもっていってくれたかどうかずっと気になる、そんな思いをするぐらいなら自分で分別した方が早い。

空き缶を家にもって帰って水ですすぐと煙草の吸殻が入っていたりして、どちらにしても不愉快になる。

業者が注意のシールを貼って、もっていかれない方が、ルール違反の人たちへの注意になるはずだが、ルール違反をする人たちは、そういう警告を気にしない。自分のゴミがいつまでもゴミ捨て場に置かれたままでも、何とも思わない。結局根気負けして私が引き取ることになる。しかも、何度も同じことを繰り返す。そんな感覚の人間だからこそ平気で燃えるゴミの中に空き缶を混ぜることができる。

公園でゴミが落ちていたら拾う。拾うのだけど、ゴミ箱がない公共施設は多い。「ゴミはおもち帰りください」と看板があり、人のゴミまでもち帰ることになるので本当に迷惑だ。深夜に悪い若者がたまった後の公園にゴミが散らばっている。弁当の空き箱やフライドチキンの骨、ペットボトルを拾い集めてもち帰り、家で分別する。手に残飯の汚れと油とにおいがつく。

人の家に遊びに行き、台所に洗い物がたまっていると洗いたい。洗い物は嫌いではない。

変態と思われるのは心外なので、「水飲みたくなった」と嘘をつき、2つか3つくらいならついでにそっと洗い物をしておくという風に装う。これなら、親切な行儀のいい育ちのいい人にみられる。本当は洗い終わって食器棚に戻されているものでも、グラスが雲っているものや少し汚れのかけらが透けてみえるものをみてしまうと洗い直したい。食器をすべて取り出して一から大掃除したい。コップの下のほこりを拭き、布きんを敷きたい。人の本棚も背の高い順、ジャンル別、著者名あいうえお順に整理したい。

親戚の家の洗い物は普通にやる。親戚の場合は即お手伝いとして認識されるので洗いやすい。食器を洗い終わったらシンクを磨く。排水溝は親戚のならふたをあけてできるだけ奥までヌルヌルを磨き取るが、他人の家の排水溝は磨かない。風呂も同じようにする。

トイレだけは特別で、他人が汚したトイレを掃除すると、掃除をしないでおくよりも不快になる。排泄物の掃除は精神的ダメージが大きい。

知り合いの会社や事務所の洗い物なら「洗うよ」と断りを入れてから洗う。男同士なら気軽だが、やはり女性には気をつかって頼みづらい。(山田)




 

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なるほど! 整理術 人の物編 2

 

居酒屋で飲んでいると棚やテレビの裏のホコリが気になって仕方がない。さっと雑巾で拭くだけでいいのに、いつまでも拭かれることなく、何か月もそのまま掃除されない。働いている人は何人もいるのに、誰も私と同じように感じてはいないのだろうか。許してもらえるならば私が家から雑巾を持って来て拭いてもかまわない。毎日気になって仕方がないのに、5分とかからずに綺麗になる。年末になっても拭き取らない。店が暇ですることがなくても拭き取らない。意識していないのか。気付いていないのか、わからない。頼むから掃除して欲しい。一度拭けば数か月はそこを雑巾がけする必要がない。火元近くの油汚れなら大変だから放っておくのも同情できるが、簡単な雑巾がけをしないでいられるのがわからない。きれいな方が気持ちがいい。

三ツ星中の三ツ星・銀座すきやばし次郎には掃除の天才がいる。鮨職人ではなく、店内を完璧に掃除する手伝いの女性がいる。店主の小野二郎さんは彼女が雑巾をもっていない姿をみたことがない。彼女の掃除の才能を絶賛している。名店中の名店には表に出ない無名の天才もいる。うまい鮨への追及も、掃除も、してもし過ぎることはないという。清潔でにおいのない完璧に行き届いた店内もすきやばし次郎の鮨のおいしさを確実に演出している。

毎日行く図書館の非常灯の上のホコリがひどい。毎日気になる。図書館利用者は毎日何百人もいるのに、誰も掃除しない。雑巾をかければ1分で済む。何度も思い切って私が拭こうか、悩んだが、顔見知りの職員が多く、変態だと思われるのが面倒だから我慢している。職員だって何十人かいるのに、誰も気にならないのだろうか。もう何年もホコリがぶらさがっている。掃除したい。

そば屋の店主の白いヘルメットの汚れがひどい。あれは金ダワシで磨けば4分でピカピカになる。すきやばし次郎とはいわないが、飲食業の人はそれぐらいの掃除はした方がいい。きれいなものに囲まれていた方がメシがうまい。ヘルメットの汚れは手垢で、何年も磨いていないのがわかる。

スナックに手垢のついたままでいる白いクーラーのリモコンがあり、許可を得て磨かせてもらった。家から金ダワシを持って来て磨けば、4分でピカピカになるが、性癖を知られるのが恥ずかしいので、店のおしぼりで15分かけてみがいた。本当は金ダワシでピカピカにしてやりたかった。

金ダワシは家にたくさん買い置きしてある。油汚れや台所の排水溝を磨くには金ダワシにかぎる。台所の排水溝の洗剤のCMをみると、排水溝を触るのが気持ち悪いように思う人が多いようだが、自分で汚しておいてそれはない。風呂も台所も排水溝は金ダワシで磨けば洗剤なんていらず、2分でピカピカになって気持ちいい。汚れが家から勢いよく出ていく爽快な気分になる。

掃除好きとしては許されるのなら代わりに掃除がしたい。他人の汚れを見続け、もう我慢ができない心理状態になることもある。幸い、我慢できずに掃除したとしても逮捕されないレベルの変態だが、女子高生の制服や下着泥棒、小児性愛への衝動と同種のもので、常に欲望に襲われている状態なのでふとしたことで魔が差し、行動に移してしまうのかもしれない。やってはいけないとわかっている。コンビニのレジで並んでいて前の人の肩や背中についている髪の毛を取りたくなる。落ちそうな財布を押し込みたい。白髪を抜きたい。

人の物は掃除してはいけない、とわかっているので衝動を抑えている。しかし、我慢ができず、やはり人が見ていないところでは片づけてしまう。私が座った図書館の読書席に落書きがあれば消しゴムで時間をかけて丁寧に消し、前の人の消しゴムのカスも綺麗に掃除する。

トイレが一番汚れが目立つが、人が汚したトイレは掃除しない。トイレは密室だから汚して帰る人が多過ぎる。本性は掃除をしない人が多いことがよくわかる。密室だから何度か勇気を出して他人が汚した便器を掃除してみたが、トイレ掃除は不快で、人が汚したトイレを掃除すると一日不愉快で、しかも切りがない。

自分の利用する図書館や、居酒屋のゴミ拾いや椅子の整頓などは目立たない程度にしている。自転車置き場の自転車も自分の周囲の数台はきちんとまっすぐ並べなおす。

自分の利用する自転車置き場で自転車が倒れていたら立てる。曲がったスタンドをなおしたいが、人にみられたらまずいし、逆に壊れてしまう可能性があるから我慢する。乾いたチェーンをみると、クレ556をスプレーしたい。タイヤの空気を入れたい。みぞがすりへってツルツルになったタイヤを変えたい。買い替えたい。

目立たず、自然に、雑巾がけや金ダワシで磨くことはできないか悩むことが多い。

カラスが荒らしたゴミ収集所の掃除をする。実は全く苦痛ではない。ホウキとチリトリで5分もかからない。45リットルゴミ袋は常にたくさん買い置きしてあり、ケチらずぜいたくに、人のためにもバンバンつかうと決めている。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
なるほど! 整理術 人の物編 1

 

そば屋が混んでいると、各テーブルが食べ終わった食器で一杯になる。

我慢できなくなり「手伝いましょうか?」といってしまうが、忙しいおばさんたちは忙しいながらも笑顔で「ありがとうございます」といってくれ、私は、忙しいのに話し掛けてしまった自分を後悔する。おばさんは冗談でいっていると思っているが、私は本気でいっている。テーブルが片付けば次のお客さんをすぐに案内できる。

私は自分の食べ終わった食器をできるだけ片づけやすい状態にしてから席を立つ。1ミリでもおばさんに近づけてテーブルのはしにおき、それでいて、誤って落としてしまわないようにはしに寄せ過ぎないように気をつける。飲み終わったビールのジョッキは取っ手をおばさんに向けておく。テーブルを拭く手間がはぶけるように食べている間も常に自分でテーブルを拭きながら綺麗にしておく。おぼんがあるなら全ておぼんにおさめ、おしぼりや箸などビニールゴミと燃えるゴミはできるだけ小さくたたんでそれぞれ分けておく。まるでラブレターを書いた後のように、やり残したことはないか、ミスがないか、相手の気持ちになってみて何度も繰り返し確認してから席を立つ。

立ち飲み屋が混んでいた。「手伝いましょうか?」と聞けば冗談だと思われるから、黙って店の人にばれないように酔っ払いが食い散らかした食器やグラスをテーブルのはじにそっと少しづつ寄せていく。

たまに片づけているところをみつかってしまう。「すいません」とか「ありがとうございます」といわれるが、みつかってしまった恥ずかしさがある。

店の人はいったん厨房の入り口の棚に使用済みの食器とグラスをおく。私は飲み終わったら自分でそこにグラスと食器をもっていく。店の人が誰もみていないのを確認してから最後の一口を飲み、グラスと箸と食器をもって、棚に運び、帰りにティッシュでテーブルに残ったグラス跡を拭き、出口にあるゴミ箱にティッシュを捨てて店を出る。これなら店の人は何も片づけなくていい。帰りも気づかれずに「ありがとうござました」もいわれずに店を出ることができると成功した気分になる。だから私は気付かれないように「ごちそうさまでした」といわないが、心の中では他の誰よりも店の人たちに(すごくごちそうさまでした)と感謝している。

食器を一度で運ぶことができるようにつまみも一つづつしか頼まない。もしかしたら食器を重ねない方が洗いやすいかもしれない。食器を重ねているまさにその時に、私が手伝いをはじめようとしているのをみつかってしまうかもしれない。帰り際はいつもハラハラする。勝率は5割程度で、やはり食器を運ぶ時と、店から出る時にみつかってしまう。二度にわけて運ぶほど食器を増やせば確実にみつかってしまうのだ。

客が私一人の時、食器を片づけていると、みつかった。店のおじさんに「いつもありがとうね」といわれた。

「いえ、暇ですから」

自分でいいながらハッとした。そうだ、私は暇なのだ。酒を飲んだり、つまみを食べながら、いつも(暇だなー)と思っていて、この暇な時間に客の食い終わった食器を片づけたい。忙しい店の人を手伝いたい。少しでも楽にしてあげたい。微力ながら少しでも世の中の役に立ちたい。片づけたくてたまらない。たまった皿も洗いたくて、流しから目が離せない。だからたまに耐え切れなくなって「手伝いましょうか?」と思わず声が出てしまう。

人の食器を運んでいたら、さすがに頭がおかしい人だと思われる。勝手に厨房に入り、洗い物をはじめたら病院にいく。

一度マスターに「食べ終わった食器はこちらに、と書いて貼っておけばいいのではないですか?」と相談してみた。

義務になったら嫌がる人もいるでしょうし、グラスが割れたりしますから、とのことだった。やはり人には色々事情がある。

女の子のアルバイトの手が届かないテーブルがあり、そこの席が空くと、私はそっと食器を女の子が片づけやすい位置までずらし、テーブルの奥もそっとティッシュで拭いておく。

みつかってしまい、女の子が「ありがとうございます」と笑顔でいった。

またその席の客が帰ったのでそっと食器をずらした。

ところが、その席にいたおやじが戻ってきてしまい、食器を片づけている私をみて、「何すんだよ!」と怒鳴った。

黒ホッピーがグラスに半分以上残っていたが、確かにおやじは「ごっそさん」といってテーブルを離れたのだ。どうやら途中で気が変わったらしい。前金制だから、客が席を離れると帰ったのかどうかわからないことがある。その意味でも、(ここにいたおやじはもう帰ったよ)と店の人にメッセージを伝えるためにも私は片づけを手伝いたい。

「余計なことすんじゃねーよっ!」

店の人が謝り、私も謝り、おやじが黒ホッピーを再び飲み続けた。みんなが嫌な気分で、私は恥ずかしくてみじめで、自分のおさえきれない欲望を呪った。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
なるほど! 整理術 レンタル料金編

 

音楽でも聴きたい気分になったのでCDを借りに行った。

借りたいCD4枚みつけたところで、いつものうように便意を催した。レンタルショップに行くとかなりの確率で便意を覚える。5回に3回は我慢できずに途中で選ぶのをやめてトイレに駆け込む。不思議とブックオフでも同じ現象が起こり何度もブックオフのトイレを借りている。もう習慣になって体が覚えているからCDDVDを借りに行く前にトイレに行こうと思っても、その時は出ない。それなのにCDDVDを選んでいるともれそうなぐらいな勢いで便意がやってくる。なんとかしてほしい。

CD4枚をもってカウンターに差し出すと、アルバイトの女の子がCDレンタルは1300円だが、5枚以上だと1000円になる、全て旧作なら10枚まで1000円だという。4枚では1200円になってしまうからもう1枚借りた方がいい、とアドバイスしてくれた。

他に特に借りたいCDもないし4枚でいいから1000円にしてください、と頼むと、決まりだからダメだという。

せっかくだからもう6枚借りようとしたが、急いで探しても借りたいCDがみつからない。それよりも大便がもれそうになってきた。

再び急いでCD4枚をカウンターに差し出すと、さっきの女の子が(はあ? あんた、さっきの私の説明の意味わかってねーの?」というあきれた顔をして、CDの枚数を数え、もう1枚借りた方がいい、このままでは本当に1200円払ってもらわなければならなくなる、と冷たい顔でまた心配してくれたが、私は一刻も早くトイレに行かなければならない。少し怒ったように強めに「これでいい」と答えると、女の子は不審な顔をして私をみてから、もうあきらめたような投げやりな態度で会計をし、「そうしますと1200円になってしまいます」と請求した。

私だって1200円払うより、1000円にしてもらいたいが、そんなことをしている暇がない。200円多く払ってでも一秒でも早くトイレに行かなければもれてしまう。すでにトイレに誰か入っていたらどうしよう、そのことだけで頭が一杯だった。

おそらくレジのコンピューターが5枚目から自動的に1000円になるように設定されているのだろう。私のレジは悲しく1200円を表示していた。だったらアルバイトの女の子が適当にもう一枚選んで5枚にしてくれてもいいような気がする。いや、それでは延滞料金が発生した時に客ともめるのだろう。いや、それならとりあえず5枚借りたことにして適当に選んでもらった1枚は店からもって帰らず、会計を済ませたすぐ後にその場で返却してしまえばいい、とトイレの便器に安心して座って考えていると次から次にグッドアイディアが浮かんだ。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
なるほど! 整理術 家賃編



私の周囲にはきつい東京生活を送っている人が多い。

東京は家賃が高い。誘惑が多い。遊び場があって仲間がいて金がかかる。駅も電車も多いから車にも自転車にも乗る必要もない。

みんな優秀なので、実家に帰るか、都心から1時間40分ぐらい離れたところに引っ越せばまだまだ余裕でやっていける人ばかりなのが面白い。それほど東京生活は便利で快適で楽しい。高い家賃を払ってでも、生活費を節約してでも住み続けたい。

私は20代で東京生活をあきらめた。酒を飲んでしまうので、家賃がどうしても払えなかった。酒にだけはいくらつかってもかまわない、という強い信念をもって生きてきたので、毎月高い家賃を永遠に払うということがどうしてももったいなくてできない。その分酒を飲みたい。10万の家賃なら年で120万円、10年で1200万円、そんな金があればかなりの店で飲める。

私の住まいは都心から電車で1時間以上かかり、最寄駅から自転車で10分かかる。だから仕事や待ち合わせ時間の1時間40分前に家を出る。雨の日は最寄り駅に着くまでにビショビショになるが、それは私だけではない。近所の人たちもみなもう慣れている。大雨の日は最寄り駅に着くまでにパンツも靴下もビショビショになる。電車に乗ると冷房や暖房でかなり乾き、会社に着く頃には落ち着き、午後には不思議といつもと変わらない。そういうものだと最初からあきらめているから誰も文句をいわずに慣れてしまう。

とはいえ、私の近所から都心に通っている人は少ない。30年ぐらい前までは都心に通勤している人が当たり前にたくさんいたが、時代はかわった。人口が減り、家があまり、都心近くに誰でも住むことができるようになった。エリートたちはみな便利なところに引っ越していった。

私は親が遺した築50年の分譲団地に暮らしている。4612畳の2Kで300万円台で売っているが空室が目立つ。家賃はないが管理費と修繕積立費が合わせて月に18000円かかる。固定資産税は年に4万円しない。外観が汚いので誰も住みたがらないから売れない。一度所有すると所有者がかわるまで、住んでいなくても管理費と修繕積立費を払い続けなくてはならないから不良物件となる。高齢者ばかりなので、自治会の仕事をやらされる。

人は住んでいるところで判断される。しかし、そんなことで人を判断するのは最低の人間のすることでもある。外観と違い中はきれいにしてあるが、昔から私の家には誰もきたがらない。家が汚いと食べ物を出しても手をつけない。子供がいる人はきれいなところに住みたい。子供は汚い家に住んでいると友達に笑われる。大人になって人の住まいを悪くいう人間はゴミ以下の最低の人間だが、子供は正直で、まだそういうことがわからない。みんなが笑うから自分も笑う。きれいな自分の家を素直に自慢し、汚い住まいを残酷に笑う。私も何度も傷ついてきた。

誰にもきてほしくないからこのまま私は汚い住まいのままでいい。遠く離れたところに暮らしているから、都内の仲間から遊びの誘いの連絡がないのが嬉しい。人に会うと金がかかる。おごってくれるといわれても結局金がかかる。

そういう住まいだから近所に変な人も多いが、隣か上に変な人が住んでいなければ普通に穏やかに暮らせる。何不自由なく暮らせる。隣か上に変な人がいたら、引っ越すしかない。

東京生活にしがみつく人は多い。東京暮らしをやめたらダメになる、と踏ん張っている人も多い。

東京で飲むと家に帰れない。東京の夜は終電がなくなる1時以降が面白い。タクシーで帰ると1万円以上かかるから途中で5000円のラブホテルに泊まってから帰る。道で寝てしまい、何度も荷物を盗まれたのでそうすることにした。汚いホテルだが、寝るだけなので不自由はない。午後12時チェックアウトなのでゆっくりできる。汚いホテルだから人気がなく、いつもガラ空きで、もう20年以上常宿としている。

きれいなところに住みたい、便利なところに住みたい、誰もがそう思うからきれいなところと便利なところは家賃が高く、汚くて不便なところは家賃が安い。様々な事情で取り壊すに取り壊せない不良物件の家賃はびっくりするぐらい安い。不動産屋さんに聞けばそんな汚い物件がごろごろみつかる。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
なるほど! 整理術 NHK受信料編

 

 

 

映画プロデューサーと深夜の六本木界隈を飲み歩いていると、映画撮影の打ち上げをやっているグループに遭遇し、合流した。主演の女優さんがプロデューサーに挨拶にきて、ついでに関係ない私にも話し掛けてくれて感激したが、私はテレビのアンテナコードを捨ててしまったのでテレビがみれず、彼女のことを知らない。

彼女のことを知らないが、とても美しい。彼女と目が合うと緊張し、間が持たずにおちょこの熱燗を何杯ものどに流し込み続けていると、彼女が冷ややかな目をして、「ものすごいペースでお酒飲むんですね…」とつぶやいた。

帰り際には「お先に失礼します」と言って握手してくれ、すっかりファンになった。

家に帰ってウィキペディアで主演映画を調べ、ツタヤでたくさん借りてみた。好きな人が出ている映画をみるのは楽しい。

彼女の出ているテレビもみたくなり、電気屋に行ってアンテナを買ってきて、久しぶりにテレビを受信した。

しばらくテレビをみつづけたが、やはり、今の世の中の面白さについていくことができず、またアンテナを捨てた。

もうテレビをみることはないのでNHKに電話し、アンテナを捨てたから受信契約を解除したい、と申し出た。

最初、「テレビを捨てた」というと、

「携帯やパソコンなどテレビを映る機械を持っていないか?」

「テレビはどのようにして捨てたか?」

聞かれ、実はDVDをみるためにテレビはまだ家にあり、アンテナコードを捨てた、と説明すると、それでは受信契約を解除できないとのことだった。

コードにつないでいなくても、建物にアンテナがあり、壊れていないテレビを持っていると受信料を払わなければならない放送法の決まりになっている。基本、テレビを家の外に捨てなければ契約は死ぬまで解除できない。

テレビがなければアダルトDVDがみれなくなってしまう。少し悩んだが、アダルトDVDなしでは生きていけない。これまでもアダルトDVDをみるためだけに何度かテレビとDVDプレーヤーを買い替えてきた。

アダルトDVDをみるためだけにNHK受信料を1年間前払い契約した。(山田)

 

 

| chat-miaou | 08:58 |
なるほど! 整理術 グローブ編

 



なんでも捨てる私がずっとグローブを捨てられずにいた。キャッチボールをしたいのだが、相手がいない。いつ相手がみつかるかわからない。そんな悩みを抱えながら、グローブとキャッチャーミットとボールを捨てられずにいた。

中学2年の時に買った硬式用の高級品だった。どこも悪くなっておらず、手に馴染んでいる。

友達が減っていった30代にバットは捨てた。ランディ・バースのものより重く、十代の時に特訓に使ったものだったので思い入れがあったので、思いを断ち切るようにのこぎりで切り刻んでから捨てた。

草野球の助っ人の誘いもここ20年ない。

キャッチボールをやってから酒場に向かい冷たいビールを飲む。かつてそんな友達が1人だけいたが、彼は30代で脳梗塞に倒れ、グローブをつけることも、ボールもつかむこともできなくなった。

それ以来10年、1度もキャッチボールをしていない。

外国に住む友人に数年おきに会う度、グローブを持って行くのだが、適当な場所がみつからなかったり友人が面倒くさがり、実現できないままでいた。

「今度、キャッチボールしませんか?」

酒場で野球の話をする若者と会う度、そんな言葉を言い出せないでいた。

30年も持ち続けたものなんて、他にすぐには思い出せない。ないかもしれない。自分の過去の写真すら一枚も持っていない。

キャッチボールがしたい。勇気を出して今度誰かに声を掛けてみようか。
思いを断ち切るために、気が変わらないうちにグローブをハサミでバラバラに分解してゴミ袋に入れた。もう一生野球をやることはなくなった。酒場で野球の話をする若者に出会ってもドキドキしながら話に耳を傾けることもない。(山田)


| chat-miaou | 06:16 |
なるほど! 整理術 友達編

 
 

駅で昔仲のよかった友人に会った。3日続けて会った。

大きい会社に勤めていた人で、15年前まではたまに一緒に飲んでいたが、地方に転勤になり縁が切れた。服装からみて、今は勤め人ではない。

会ったといっても目が合っただけで気まずい。

携帯電話のない頃、誰でも電話番号を数十個は覚えていた。ピアノを弾くようにプッシュボタンの並びで指が自然に動いた。今でも20個ぐらい自然に指が動く。

久しぶりに顔をみて、友人の実家の電話番号を指の動きで確認した。

私が気づいているのだからあちらも気づいている。

電話してみるとお母さんが出て、しばらく待った後、留守だといわれた。こちらの携帯番号を伝えておいたがかかってこることはなかった。

かけなければよかった。やはりしばらく会わない人はそのままでいい。向こうもこちらも数年ですっかり人が変わっていて用なんてない。環境が違うのだから話が合う訳ない。うまくいっている人以外、近況なんて語りたくないし聞かれたくない。

同じように15年ぶりに別の友人から突然連絡があった。

話があるといい、少し仲のよかった人なので渋谷まで会いに出掛けると化粧品販売の儲け話だった。売れば売るほど彼も私も儲かっていく仕組みになっているというが、彼は儲けることのできる人間ではない。

紹介したい人がいるといって途中から変な人がもう一人加わったが、その人も服装と顔つきからみて儲けることができるような人ではない。

居酒屋で会ったが、仲間だと思われたくないし、友達だと思われたくないし、一緒にいるのが恥ずかしいし、バカにされているような気になり、友人がトイレに行っている間に金も払わず黙って一人で先に帰った。(山田)

| chat-miaou | 01:01 |
なるほど! 整理術 テレビ編

 



明日世界が滅びるとしても本を読む。

本を読むのが好きなのだが、生まれつき頭が悪く、理解力がないため、たくさん読めない。毎日5時間は本を読んでいるのだが、200ページも読むことができない。もっと色々な本を読みたいのだが、1日に200ページしか読めないとわかっているから読む本を絞ることになる。時間をかけてつまらない本を読んでしまったり、理解できずに挫折しないように、既に読んだドストエフスキーを繰り返し読むことになる。

テレビがあるとつい見入ってしまう。

テレビから出てくるたくさんのコードも気になる。

何度もテレビを捨ててみたが、周期的にどうしてもアダルトDVDをみたくなり、その度に我慢できずにテレビとDVDプレーヤーを買いに行った。脳が覚えた快楽からは逃れることはできない。

テレビから出ているたくさんのコードをみているうちに「アンテナコードは捨てよう」とひらめいた。

アンテナ線をつなぐコードを捨てるだけでも大分すっきりした。これでもう一生テレビをみることができず、その分少しでも多く読書に集中できる。気づくのが遅過ぎた。

テレビをつけ、有名人の熱愛報道に見入ってしまい、そんなことを気にしている自分に悩んでいた。熱愛報道を見終わって、自分と全く関係ない、会ったこともない人の熱愛情報をネットで時間をかけて調べたりしてしまう。

新聞を読んでも、雑誌の広告の熱愛報道に目が行く。電車の吊り広告でも、ヤフーのトップ画面でも目が向いてしまう。知る必要はないし、知りたくないと本気で思っているつもりなのに、どこかで人のことが気になって仕方がない。

人のツイッターやブログをチェックすることはいっさいないが、知らなくていい他人の情報がどんどん頭にたまっていく。情報が多過ぎる。テレビのアンテナを捨てたことによって少しは楽になる。テレビのない生活は、時間が長くなる。(山田)

| chat-miaou | 05:17 |
なるほど! 整理術 捨てられないもの編

 

もたない男は常に部屋中をチェックしている。自分の持ち物はキーホルダー一つまで全て把握している。机の引き出しに何が入っているか全てわかっている。そういうのが面倒くさいから引き出しの中には何も入っていない。引き出しは無駄になり捨てる。机も無駄になり捨てる。無駄なもの、捨てるものはないか部屋の景色に常に目を光らせている。ちょっと迷ったら捨ててみる。迷うぐらいならまずは捨ててみる。捨ててみれば必要かどうかよくわかる。捨てれば捨てるほど捨てるものがなくなり、捨てて後悔するものなどなくなる。

それでもどうしても捨てられないものが色々ある。

冬、体を温めるために熱いスープを飲みたくなる。コーヒーやインスタントスープを飲むためのお湯を沸かす電気ケトルを買うが、これだけでは我慢できない。一つの欲望が広がりエスカレートしていく。野菜の入ったスープが飲みたいから鍋が必要となり、ガスコンロがどうしても必要になる。野菜をきざむまな板も包丁も、スープを入れる器も必要になる。

どうしてもゴハンが食べたい。おいしいゴハンが食べたいから炊飯器を買いたいが、炊飯器は荷物になる。頭の中で「もたない、もたない」と念じてチンするゴハンで我慢する。チンするゴハンなら食べ終われば部屋から消えてなくなる。おいしいものも限りなくエスカレートしていく。

炊飯器より電子レンジの方が大きくて重い。しかし、存在の大きさが違う。電子レンジはゴハンをチンする以外につかうことはないが温める時間は1分しかかからない。炊飯器の場合、ゴハンが炊けるまでに30分かかる。腹が減っているからゴハンを炊くのに、炊き上がる頃にはもう他のものを食べて満腹している。食べる時間にタイマーを合わせると、外出中落ち着かない。今、家でゴハンが炊けていると思うと外食ができない。米を2キロかっておけば、自然にそれを食べなければならないから米を中心にスケジュールを組む。炊飯器によって決められた未来にうんざりする。電子レンジにはそういう束縛がない。たまにゴハン以外の食べ物を温める時、水気が破裂してレンジの内部が汚れないように皿に覆うサランラップが必要なだけだ。

体を温める風呂とシャワーも絶対に必要だ。冬、水で体を洗えば死ぬ可能性があるし神経痛になる。風呂は気持ちいい。風呂に入って体を洗い、ひげをそれば、気分がスッキリして全てをやり直せる。熱い風呂に入って汚れを落とせば一日に何度でも、気持ちよく人生をリセットできる。

暖房がなければ神経痛になるが、冷房がなくてもどこも悪くならない。こごえて病気になったり死んでしまうことはあるが、老人でないかぎりいくら暑くても部屋の中で死ぬことはまずない。沖縄をみれば明らかに暑いのは体にいい。しかし、暑くてベタベタしてムカムカしている時、風呂に入って全身着替え、クーラーをつけるとサラサラして快適で、ここ1年で最高の体調になる。

一人で暇になると女の裸がみたくなる。どうしてもアダルトDVDは捨てられない。DVDをみるためにはDVDプレーヤーもテレビも必要になるから何度もエロ本で我慢しようとしたが、刺激が違う。美しさが違う。AV女優の動画をみないで生きていくことはできない。あんまりそろえると死んだ後に恥ずかしいから2枚までにしている。孤独死の取材をした時、孤独者の死後、たくさんのアダルトDVDが残されることは多い。死後、これが必ず話題になる。どうしても捨てられない2枚だからこそ、1000回でもみることのできる傑作が手元に残ることになる。1000回みるにたえる映画やテレビ番組なんてない。誰だってアダルトDVDをみたい。

蒲団も枕も必要だが敷布団は必要ない。

冷蔵庫に缶ビールを冷やしておくか何度も迷ったが、「もたない、もたない」と念じてみれば、必要ない。ウーロン茶もコーラも突然飲みたくなる時がやってくるが、冷蔵庫に入れておくと飲みたくない時も飲んでしまう。酒は体に悪いからできるだけ遠ざける。水は飲まないわけにはいかない。冷たい水を飲みたい。

冷蔵庫を捨てた時、冷たい水が飲めず、苦しみもがいた。二日酔いで目覚めた夜中、自動販売機までよく冷えた水を飲みに行った。コンビニの水より、自動販売の水の方がよく冷えている。何度も自動販売機に走り、水と冷蔵庫の大切さを知った。

肉も、魚も、油も酒も食べる必要はない。食べない方が明らかに体調がいい。体が軽い。だから買って帰らないし、部屋に持ち込まないし、冷蔵庫に入れない。人からもらったら思い切って捨てる。もったいないといって体を壊すより、罪悪感を感じてでも捨て、健康でいたい。人にあげるのはいろいろ面倒くさい。もらった方が嬉しいとはかぎらない。

どんどん捨てて、手元にないと色々欲しくなる。捨ててしまった志ん生の落語のCDをまた聴きたくなる。図書館に借りに行こうか迷うと「もたない、もたない」と念じる。迷った時は念じる。借りてしまえば返しに行かなければならない。その面倒を考えると借りなくて済む。そこまでして聴きたいわけでもない。本当に必要なものは迷う前に体が入手に動き始める。緊急に必要なものなら、体が自然に走って入手に動き出す。ものを捨てていくとそういうことに気づく。本当に必要なものがわかってくる。どうしても必要なものがある。

生きる希望を維持するためには読書が必要になる。東海林さだおの丸かじりシリーズ、根本敬のエッセイ、洲之内徹の気まぐれ美術館シリーズ、岸田秀、獅子文六の『わたしの食べ歩き』あたりは何度も捨てたが何度も買い直し、今も手持にある。本棚はもたない。

『ナニワ金融道』と『ブラックジャック』は何度もブックオフに通い108円で全巻そろえているが、漫画は場所を取るから読み終わったら捨てる。どうせいつかまた買うから捨てないでおきたいが、そういうわけにもいかない。どちらか一つを選ぶとしたら『ナニワ金融道』をおいておく。

CDはアイチューンに入れたら捨てる。アイチューンに入れた曲もできるだけ削除する。CDは図書館でもかなり色々借りられるし、どうしても聴きたい曲はユーチューブでいつでも聴ける。アイポッドは軽くて快適だが、余計なものは持ち歩きたくないからもって出掛けることはない。

レシートは受け取らない、受け取ったレシートはごみ箱を探して捨て、家に持ち帰らない。電気製品の箱は店においていく。保証書も捨ててしまう。捨てる基本フォームが身につくと、世の中にゴミ箱が少な過ぎることがよくわかる。

もたない男は常に線引きしている。冷たい水は絶対冷蔵庫に冷やしておきたいが、コーラやウーロン茶はいらない。体をあたためてくれ、無駄なカロリーのないコーヒーは必要だが、インスタントコーヒーで十分でドリップコーヒーはいらない。ドリップコーヒーはゴミが出る。紅茶や緑茶のティーパックもゴミになる。飲んだらこの世から消えてなくなるインスタントコーヒー一つでいい。砂糖もいらない。譲れないところがある。炭水化物は白米のみで、そばもパンももたない。

ないものは食べない、あるもので済ますが、おいしいものを食べる、体にいいものを食べる。食べたいものを食べたいからせめぎ合う。突然パンが食べたくなり、買いに行く。そば屋に行く。ラーメン屋に行く。東海林さだおを読んでいて、炊き立ての熱いゴハンが食べたくなり、。やはり炊飯器が欲しくなる。線引き判断は日々死ぬまで続く。

ずっと一緒にいたい女性に出会えた人は、自分だけの持ち物では済まなくなる。子供ができたら子供がみじめな思いをしないようにきれいな住居も必要となる。

仲間や友人は、人生のその時々で求めるものが違うので必要ない。財産や介護や借金や保証人でもめるから親戚もいらない。

炊飯器は必要かもしれない。なくても生きていけるが、あった方がよりよい人生を送れるかもしれない。重荷になることはわかっている。ここ20年で10回以上捨てたが答えはまだ出ていない。炊飯器は常にギリギリの線引き上に位置している。(山田)

 

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