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なるほど! 整理術 人の家編

 
 

家の前が散らかっているとほうきをもち出して除する。

分別ゴミができていない袋をみると、変人扱いされない程度に袋を開けて分別する。

ゴミを漁っているのではない。人のゴミに興味がないし、欲しいものが捨てられていても、捨てた人が嫌だろうからもち帰らない。

燃えるゴミの中に空き缶が入っていると業者がもっていってくれない。朝、ゴミを出してから業者がもっていってくれたかどうかずっと気になる、そんな思いをするぐらいなら自分で片付けた方が早い。

空き缶を家にもって帰って水ですすぐと煙草の吸殻が入っていたりして、どちらにしても不愉快になる。

業者が注意のシールを貼って、もっていかれない方が、ルール違反の人たちへの注意になるはずだが、ルール違反をする人たちは、そういうことを気にしない。自分のゴミがいつまでもゴミ捨て場に置かれたままでも、何とも思わない。根気負けして私が引き取ることになる。しかも、何度も同じことを繰り返す。そんな感覚の人間だからこそ平気で燃えるゴミの中に空き缶を混ぜることができる。

公園でゴミが落ちていたら拾う。拾うのだけど、ゴミ箱がない公共施設は多い。「ゴミはおもち帰りください」と看板があり、人のゴミまでもち帰ることになるので本当に迷惑だ。深夜に悪い若者がたまった後の公園にゴミが散らばっている。拾い集めてもち帰り、家で分別する。

人の家に遊びに行き、台所に洗い物がたまっていると洗いたい。洗い物は嫌いではない。

変態と思われるのは心外なので、「水飲みたくなった」と嘘をつき、ついでにそっと洗い物をしておくという風に装う。これなら、親切な行儀のいい育ちのいい人にみられる。本当は洗い終わって食器棚に戻されているものでも、グラスが雲っているものや少し汚れのかけらが透けてみえるものをみてしまうと洗い直したいが我慢する。食器をすべて取り出して一から大掃除したい。人の本棚も背の高い順、用途順に整理したいが、やはり我慢。

親戚の家の洗い物は普通にやる。親戚の場合は即お手伝いにみてもらえるので洗いやすいが、洗い物は趣味といってもいい。本能かもしれない。食器を洗い終わったらシンクを磨く。排水溝は親戚のなら磨くが、他人の排水溝は磨かない。これはトイレと一緒で、他人が汚したものを掃除するのは不快になる。

知り合いの会社や事務所の洗い物なら「洗うよ」と断りを入れてから洗う。男同士なら気軽に頼めるが、やはり女性には頼みづらい。(山田)




 

| chat-miaou | 09:43 |
なるほど! 整理術 人の物編 2

 

居酒屋で飲んでいると棚やテレビの裏のホコリが気になって仕方がない。さっと雑巾で拭くだけでいいのに、いつまでも拭かれることなく、何か月もそのまま掃除されない。働いている人は何人もいるのに、誰も私と同じように感じてはいないのだろうか。許してもらえるならば私が家から雑巾を持って来て拭いてもかまわない。毎日気になって仕方がないのに、5分とかからずに綺麗になる。年末になっても拭き取らない。店が暇ですることがなくても拭き取らない。意識していないのか。気付いていないのか、わからない。頼むから掃除して欲しい。一度拭けば数か月はそこを雑巾がけする必要がない。火元近くの油汚れなら大変だから放っておくのも同情できるが、簡単な雑巾がけをしないでいられるのがわからない。きれいな方が気持ちがいい。

三ツ星中の三ツ星・銀座すきやばし次郎には掃除の天才がいる。鮨職人ではなく、店内を完璧に掃除する手伝いの女性がいる。店主の小野二郎さんは彼女が雑巾をもっていない姿をみたことがない。彼女の掃除の才能を絶賛している。名店中の名店には表に出ない無名の天才もいる。うまい鮨への追及も、掃除も、してもし過ぎることはないという。清潔でにおいのない完璧に行き届いた店内もすきやばし次郎の鮨のおいしさを確実に演出している。

毎日行く図書館の非常灯の上のホコリがひどい。毎日気になる。図書館利用者は毎日何百人もいるのに、誰も掃除しない。雑巾をかければ1分で済む。何度も思い切って私が拭こうか、悩んだが、顔見知りの職員が多く、変態だと思われるのが面倒だから我慢している。職員だって何十人かいるのに、誰も気にならないのだろうか。もう何年もホコリがぶらさがっている。掃除したい。

そば屋の店主の白いヘルメットの汚れがひどい。あれは金ダワシで磨けば4分でピカピカになる。すきやばし次郎とはいわないが、飲食業の人はそれぐらいの掃除はした方がいい。きれいなものに囲まれていた方がメシがうまい。ヘルメットの汚れは手垢で、何年も磨いていないのがわかる。

スナックに手垢のついたままでいる白いクーラーのリモコンがあり、許可を得て磨かせてもらった。家から金ダワシを持って来て磨けば、4分でピカピカになるが、性癖を知られるのが恥ずかしいので、店のおしぼりで15分かけてみがいた。本当は金ダワシでピカピカにしてやりたかった。

金ダワシは家にたくさん買い置きしてある。油汚れや台所の排水溝を磨くには金ダワシにかぎる。台所の排水溝の洗剤のCMをみると、排水溝を触るのが気持ち悪いように思う人が多いようだが、自分で汚しておいてそれはない。風呂も台所も排水溝は金ダワシで磨けば洗剤なんていらず、2分でピカピカになって気持ちいい。汚れが家から勢いよく出ていく爽快な気分になる。

掃除好きとしては許されるのなら代わりに掃除がしたい。他人の汚れを見続け、もう我慢ができない心理状態になることもある。幸い、我慢できずに掃除したとしても逮捕されないレベルの変態だが、女子高生の制服や下着泥棒、小児性愛への衝動と同種のもので、常に欲望に襲われている状態なのでふとしたことで魔が差し、行動に移してしまうのかもしれない。やってはいけないとわかっている。コンビニのレジで並んでいて前の人の肩や背中についている髪の毛を取りたくなる。落ちそうな財布を押し込みたい。白髪を抜きたい。

人の物は掃除してはいけない、とわかっているので衝動を抑えている。しかし、我慢ができず、やはり人が見ていないところでは片づけてしまう。私が座った図書館の読書席に落書きがあれば消しゴムで時間をかけて丁寧に消し、前の人の消しゴムのカスも綺麗に掃除する。

トイレが一番汚れが目立つが、人が汚したトイレは掃除しない。トイレは密室だから汚して帰る人が多過ぎる。本性は掃除をしない人が多いことがよくわかる。密室だから何度か勇気を出して他人が汚した便器を掃除してみたが、トイレ掃除は不快で、人が汚したトイレを掃除すると一日不愉快で、しかも切りがない。

自分の利用する図書館や、居酒屋のゴミ拾いや椅子の整頓などは目立たない程度にしている。自転車置き場の自転車も自分の周囲の数台はきちんとまっすぐ並べなおす。

自分の利用する自転車置き場で自転車が倒れていたら立てる。曲がったスタンドをなおしたいが、人にみられたらまずいし、逆に壊れてしまう可能性があるから我慢する。乾いたチェーンをみると、クレ556をスプレーしたい。タイヤの空気を入れたい。みぞがすりへってツルツルになったタイヤを変えたい。買い替えたい。

目立たず、自然に、雑巾がけや金ダワシで磨くことはできないか悩むことが多い。

カラスが荒らしたゴミ収集所の掃除をする。実は全く苦痛ではない。ホウキとチリトリで5分もかからない。45リットルゴミ袋は常にたくさん買い置きしてあり、ケチらずぜいたくに、人のためにもバンバンつかうと決めている。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
なるほど! 整理術 人の物編 1

 

そば屋が混んでいると、各テーブルが食べ終わった食器で一杯になる。

我慢できなくなり「手伝いましょうか?」といってしまうが、忙しいおばさんたちは忙しいながらも笑顔で「ありがとうございます」といってくれ、私は、忙しいのに話し掛けてしまった自分を後悔する。おばさんは冗談でいっていると思っているが、私は本気でいっている。テーブルが片付けば次のお客さんをすぐに案内できる。

私は自分の食べ終わった食器をできるだけ片づけやすい状態にしてから席を立つ。1ミリでもおばさんに近づけてテーブルのはしにおき、それでいて、誤って落としてしまわないようにはしに寄せ過ぎないように気をつける。飲み終わったビールのジョッキは取っ手をおばさんに向けておく。テーブルを拭く手間がはぶけるように食べている間も常に自分でテーブルを拭きながら綺麗にしておく。おぼんがあるなら全ておぼんにおさめ、おしぼりや箸などビニールゴミと燃えるゴミはできるだけ小さくたたんでそれぞれ分けておく。まるでラブレターを書いた後のように、やり残したことはないか、ミスがないか、相手の気持ちになってみて何度も繰り返し確認してから席を立つ。

立ち飲み屋が混んでいた。「手伝いましょうか?」と聞けば冗談だと思われるから、黙って店の人にばれないように酔っ払いが食い散らかした食器やグラスをテーブルのはじにそっと少しづつ寄せていく。

たまに片づけているところをみつかってしまう。「すいません」とか「ありがとうございます」といわれるが、みつかってしまった恥ずかしさがある。

店の人はいったん厨房の入り口の棚に使用済みの食器とグラスをおく。私は飲み終わったら自分でそこにグラスと食器をもっていく。店の人が誰もみていないのを確認してから最後の一口を飲み、グラスと箸と食器をもって、棚に運び、帰りにティッシュでテーブルに残ったグラス跡を拭き、出口にあるゴミ箱にティッシュを捨てて店を出る。これなら店の人は何も片づけなくていい。帰りも気づかれずに「ありがとうござました」もいわれずに店を出ることができると成功した気分になる。だから私は気付かれないように「ごちそうさまでした」といわないが、心の中では他の誰よりも店の人たちに(すごくごちそうさまでした)と感謝している。

食器を一度で運ぶことができるようにつまみも一つづつしか頼まない。もしかしたら食器を重ねない方が洗いやすいかもしれない。食器を重ねているまさにその時に、私が手伝いをはじめようとしているのをみつかってしまうかもしれない。帰り際はいつもハラハラする。勝率は5割程度で、やはり食器を運ぶ時と、店から出る時にみつかってしまう。二度にわけて運ぶほど食器を増やせば確実にみつかってしまうのだ。

客が私一人の時、食器を片づけていると、みつかった。店のおじさんに「いつもありがとうね」といわれた。

「いえ、暇ですから」

自分でいいながらハッとした。そうだ、私は暇なのだ。酒を飲んだり、つまみを食べながら、いつも(暇だなー)と思っていて、この暇な時間に客の食い終わった食器を片づけたい。忙しい店の人を手伝いたい。少しでも楽にしてあげたい。微力ながら少しでも世の中の役に立ちたい。片づけたくてたまらない。たまった皿も洗いたくて、流しから目が離せない。だからたまに耐え切れなくなって「手伝いましょうか?」と思わず声が出てしまう。

人の食器を運んでいたら、さすがに頭がおかしい人だと思われる。勝手に厨房に入り、洗い物をはじめたら病院にいく。

一度マスターに「食べ終わった食器はこちらに、と書いて貼っておけばいいのではないですか?」と相談してみた。

義務になったら嫌がる人もいるでしょうし、グラスが割れたりしますから、とのことだった。やはり人には色々事情がある。

女の子のアルバイトの手が届かないテーブルがあり、そこの席が空くと、私はそっと食器を女の子が片づけやすい位置までずらし、テーブルの奥もそっとティッシュで拭いておく。

みつかってしまい、女の子が「ありがとうございます」と笑顔でいった。

またその席の客が帰ったのでそっと食器をずらした。

ところが、その席にいたおやじが戻ってきてしまい、食器を片づけている私をみて、「何すんだよ!」と怒鳴った。

黒ホッピーがグラスに半分以上残っていたが、確かにおやじは「ごっそさん」といってテーブルを離れたのだ。どうやら途中で気が変わったらしい。前金制だから、客が席を離れると帰ったのかどうかわからないことがある。その意味でも、(ここにいたおやじはもう帰ったよ)と店の人にメッセージを伝えるためにも私は片づけを手伝いたい。

「余計なことすんじゃねーよっ!」

店の人が謝り、私も謝り、おやじが黒ホッピーを再び飲み続けた。みんなが嫌な気分で、私は恥ずかしくてみじめで、自分のおさえきれない欲望を呪った。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
なるほど! 整理術 家賃編



私の周囲にはきつい東京生活を送っている人が多い。

東京は家賃が高い。誘惑が多い。遊び場があって仲間がいて金がかかる。

実家に帰るか、都心から1時間40分ぐらい離れたところに引っ越せばまだまだ余裕でやっていける人ばかりなのが面白い。それほど東京生活は便利で快適で面白い。高い家賃を払ってでも、生活費を節約してでも住み続けたい。

もう、私は20代で東京生活をあきらめた。酒を飲んでしまうので、家賃がどうしても払えなくなる。酒にだけはいくらつかってもかまわない、という強い信念を持って生きていたので、毎月永遠に高い家賃を払うということがどうしてももったいなくてできない。その分酒を飲みたかった。

私の住まいは都心から電車で1時間以上かかり、最寄駅から自転車で10分かかる。雨の日は最寄り駅に着くまでにビショビショになるが、それは私だけではない。近所の人たちもみなもう慣れている。大雨の日は最寄り駅に着くまでにパンツも靴下もビショビショになる。電車に乗ると冷房や暖房でかなり乾き、会社に着く頃には落ち着き、午後には不思議といつもと変わらない。そういうものだと最初からあきらめているから誰も文句も言わずに慣れてしまう。

とはいえ、私の近所から都心に通っている人は少ない。30年ぐらい前までは都心に通勤している人が当たり前にたくさんいたが、時代は変わった。人口が減り、家があまり、都心近くに誰でも住むことができるようになった。エリートたちはみな便利なところに引っ越していった。

私は親が遺した築50年の分譲団地に暮らしている。4612畳の2K400万円台で売っているが空室が目立つ。家賃はないが管理費と修繕積立費が合わせて月に18000円かかる。固定資産税は年に4万円弱。外観が汚いので誰も住みたがらない。高齢者ばかりなので、自治会の仕事もやらされる。

人は住んでいるところで判断される。外観と違い中はきれいにしてあるが、昔から私の家には誰もきたがらない。

私の場合、遠く離れたところに暮らし、遊びの誘いの連絡がないのが嬉しい。

そういう住まいだから近所に変な人も多いが、隣か上に変な人が住んでいなければ普通に穏やかに暮らせる。何不自由なく暮らせる。隣か上に変な人がいたら、引っ越すしかない。

東京生活にしがみつく人は多い。東京暮らしをやめたらダメになる、と踏ん張っている人も多い。

東京で飲むと家に帰れない。タクシーで帰ると2万円以上かかるから途中で5000円のラブホテルに泊まってから帰る。道で寝てしまい、何度も荷物を盗まれたのでそうすることにした。汚いホテルだが、寝るだけなので不自由はない。午後12時チェックアウトなのでゆっくりできる。汚いから人気がなく、いつもガラ空きで、もう20年以上常宿として愛用している。

きれいなところに住みたい、便利なところに住みたい、誰もがそう思うからきれいなところと便利なところは家賃が高い。(山田)

 

| chat-miaou | 01:41 |
なるほど! 整理術 NHK受信料編

 

 

 

映画プロデューサーと深夜の六本木界隈を飲み歩いていると、映画撮影の打ち上げをやっているグループに遭遇し、合流した。主演の女優さんがプロデューサーに挨拶にきて、ついでに関係ない私にも話し掛けてくれて感激したが、私はテレビのアンテナコードを捨ててしまったのでテレビがみれず、彼女のことを知らない。

彼女のことを知らないが、とても美しい。彼女と目が合うと緊張し、間が持たずにおちょこの熱燗を何杯ものどに流し込み続けていると、彼女が冷ややかな目をして、「ものすごいペースでお酒飲むんですね…」とつぶやいた。

帰り際には「お先に失礼します」と言って握手してくれ、すっかりファンになった。

家に帰ってウィキペディアで主演映画を調べ、ツタヤでたくさん借りてみた。好きな人が出ている映画をみるのは楽しい。

彼女の出ているテレビもみたくなり、電気屋に行ってアンテナを買ってきて、久しぶりにテレビを受信した。

しばらくテレビをみつづけたが、やはり、今の世の中の面白さについていくことができず、またアンテナを捨てた。

もうテレビをみることはないのでNHKに電話し、アンテナを捨てたから受信契約を解除したい、と申し出た。

最初、「テレビを捨てた」というと、

「携帯やパソコンなどテレビを映る機械を持っていないか?」

「テレビはどのようにして捨てたか?」

聞かれ、実はDVDをみるためにテレビはまだ家にあり、アンテナコードを捨てた、と説明すると、それでは受信契約を解除できないとのことだった。

コードにつないでいなくても、建物にアンテナがあり、壊れていないテレビを持っていると受信料を払わなければならない放送法の決まりになっている。基本、テレビを家の外に捨てなければ契約は死ぬまで解除できない。

テレビがなければアダルトDVDがみれなくなってしまう。少し悩んだが、アダルトDVDなしでは生きていけない。これまでもアダルトDVDをみるためだけに何度かテレビとDVDプレーヤーを買い替えてきた。

アダルトDVDをみるためだけにNHK受信料を1年間前払い契約した。(山田)

 

 

| chat-miaou | 08:58 |
なるほど! 整理術 グローブ編

 



なんでも捨てる私がずっとグローブを捨てられずにいた。キャッチボールをしたいのだが、相手がいない。いつ相手がみつかるかわからない。そんな悩みを抱えながら、グローブとキャッチャーミットとボールを捨てられずにいた。

中学2年の時に買った硬式用の高級品だった。どこも悪くなっておらず、手に馴染んでいる。

友達が減っていった30代にバットは捨てた。ランディ・バースのものより重く、十代の時に特訓に使ったものだったので思い入れがあったので、思いを断ち切るようにのこぎりで切り刻んでから捨てた。

草野球の助っ人の誘いもここ20年ない。

キャッチボールをやってから酒場に向かい冷たいビールを飲む。かつてそんな友達が1人だけいたが、彼は30代で脳梗塞に倒れ、グローブをつけることも、ボールもつかむこともできなくなった。

それ以来10年、1度もキャッチボールをしていない。

外国に住む友人に数年おきに会う度、グローブを持って行くのだが、適当な場所がみつからなかったり友人が面倒くさがり、実現できないままでいた。

「今度、キャッチボールしませんか?」

酒場で野球の話をする若者と会う度、そんな言葉を言い出せないでいた。

30年も持ち続けたものなんて、他にすぐには思い出せない。ないかもしれない。自分の過去の写真すら一枚も持っていない。

キャッチボールがしたい。勇気を出して今度誰かに声を掛けてみようか。
思いを断ち切るために、気が変わらないうちにグローブをハサミでバラバラに分解してゴミ袋に入れた。もう一生野球をやることはなくなった。酒場で野球の話をする若者に出会ってもドキドキしながら話に耳を傾けることもない。(山田)


| chat-miaou | 06:16 |
なるほど! 整理術 割り勘編

 
 

酒の飲めない友人が嘆く。

「割り勘てなんとかならないですかね。僕なんて1杯しか飲めないからいつも損してますよ。高いもの頼むのも露骨だし…」

前金制の立ち飲み屋なら自分の頼んだ分だけその都度払えるよ、と教えてあげると彼は一瞬目を輝かせた後、

「でも、僕はお酒が好きじゃないから、そんなことのためだけに立って飲むなんて嫌ですよ」

と悲しそうにつぶやいた。

金がない人ばかりになり、割り勘という風習は本当に迷惑だ。

誘った方が出すべきだ、という考え方がある。嫌なら誘わなければいいのだからこれは正しい。
よく女性がデート代を割り勘にされてぶち切れている。売り込むわけではないが、私ならデート代は
5000円は用意する。デート相手がいないわけではないが、今は余裕がないから誘わない。

「次は俺が出す」

というのも頼むからやめてほしい。普通、一軒目の鮨屋が高くつき、二軒目のバーは腹が一杯なので安い。二軒目が銀座のクラブなんていうこともまれにはあるが、そんなこと、これまでの人生で数回しかない。一軒目の鮨屋が2万円で二軒目のバーが3400円というのが定番であり、2軒目は喫茶店でコーヒーにする人もいる。翌日になってから「一晩よく考えたのだが、やっぱり昨日は割り勘で」などとはなかなか言い出しにくい。そういうことを計算に入れている敵は少なくない。

「お支払いはカードで?」と聞いてくる店もあるのだから、「お支払いは男らしくおまとめで? それとも今回は普通に割り勘で?」と聞いてくれる親切な居酒屋さんがあったっていい。ランチタイムは別会計が普通なのに、飲み代の割り勘個別会計は面倒なので拒否するというのは店側の怠慢であり、そういう店はもういらない。

基本、誘った方が出す。「次は俺が出す」は懲役または5万円以下の罰金。割り勘は100円単位で、100円未満は男らしく黙って私が出そう。

そもそも私は人に会いたいという発想がない。人に会いたくないという気持ちは人一倍強い。誘いを断るのは勇気がいるしとても疲れる。断っても断られてもしばらく嫌な気分が続くのだからお互い誘うのはもうやめよう。今の良好関係を維持するためには会わないのが一番いい。(山田)
 

| chat-miaou | 02:08 |
なるほど! 整理術 友達編 2

 
 

今年も新米が送られてきた。いつも一緒に野菜も送られてくる。無農薬の自家栽培のもので、おいしい時はびっくりするほどおいしい。

22歳の時、アル中の私は父に勘当され、行き場を失った。

頼ることのできた唯一の場所は、小暮の4畳半の風呂なしアパートだった。

「ここで二人で暮らすのは無理だから、1か月にしてね。1か月アルバイトをすればこの辺の風呂なしアパートなら借りられる」

小暮は私の父と電話で話し「もう帰らないと言っています」と私をかばった。小暮が敬語を使うのをはじめて聞いた。その後、私は小暮の紹介で彼の働く倉庫で一緒に働いた。

私には楽しい職場だったが、傷つきやすい小暮は人間関係に悩み、数か月でアルバイトを辞め、しばらくして首を吊り、合鍵を持っていた私が第一発見者となった。

突然連絡がとれなくなった小暮を訪ねると、窓際に打ち付けた五寸釘に洗濯用ロープをひっかけ、外を向いてぶらさがっていた。私は一緒に食べようと思ってコンビニで買ってきた冷やし中華の入った袋をバサッと床に落とした。

暖かい季節になっていた。

「もしも山田さんがみつけてくれなかったらあの子の体はどうなっていたか…暖かくなりましたから…」

20年以上前、小暮のお母さんは23歳の私に泣きながら頭を下げた。その思いのまま今でも新米と野菜を送ってくる。まだ泣いているのだろう。私は墓参りにも行かない。
ビール券やお金を送ってくれることもある。
何も送らないように何度もハガキを書いた。

何も返すことができない。何も持っていないから野菜を調理できないし、炊飯器を持っていないから新米の味もわからない。

食べた人の感想を聞いてからお礼のハガキを書く。

「おいしいお米と野菜をありがとうございました。何もお返しできませんので、もう送らないでください」

いつも冷たい文面しか書くことができない。(山田)

 

| chat-miaou | 01:20 |
なるほど! 整理術 友達編 1

 
 

駅で昔仲のよかった友人に会った。3日続けて会った。

大きい会社に勤めていた人で、15年前まではたまに一緒に飲んでいたが、地方に転勤になり縁が切れた。服装からみて、今は勤め人ではない。

会ったといっても目が合っただけで気まずい。

携帯電話のない頃、誰でも電話番号を数十個は覚えていた。ピアノを弾くようにプッシュボタンの並びで指が自然に動いた。今でも20個ぐらい自然に指が動く。

久しぶりに顔をみて、友人の実家の電話番号を指の動きで確認した。

私が気づいているのだからあちらも気づいている。

電話してみるとお母さんが出て、しばらく待った後、留守だといわれた。こちらの携帯番号を伝えておいたがかかってこることはなかった。

かけなければよかった。やはりしばらく会わない人はそのままでいい。向こうもこちらも数年ですっかり人が変わっていて用なんてない。環境が違うのだから話が合う訳ない。うまくいっている人以外、近況なんて語りたくないし聞かれたくない。

同じように15年ぶりに別の友人から突然連絡があった。

話があるといい、少し仲のよかった人なので渋谷まで会いに出掛けると化粧品販売の儲け話だった。売れば売るほど彼も私も儲かっていく仕組みになっているというが、彼は儲けることのできる人間ではない。

紹介したい人がいるといって途中から変な人がもう一人加わったが、その人も服装と顔つきからみて儲けることができるような人ではない。

居酒屋で会ったが、仲間だと思われたくないし、友達だと思われたくないし、一緒にいるのが恥ずかしいし、バカにされているような気になり、友人がトイレに行っている間に金も払わず黙って一人で先に帰った。(山田)

| chat-miaou | 07:38 |
なるほど! 整理術 テレビ編

 



明日世界が滅びるとしても本を読む。

本を読むのが好きなのだが、生まれつき頭が悪く、理解力がないため、たくさん読めない。毎日5時間は本を読んでいるのだが、200ページも読むことができない。もっと色々な本を読みたいのだが、1日に200ページしか読めないとわかっているから読む本を絞ることになる。時間をかけてつまらない本を読んでしまったり、理解できずに挫折しないように、既に読んだドストエフスキーを繰り返し読むことになる。

テレビがあるとつい見入ってしまう。

テレビから出てくるたくさんのコードも気になる。

何度もテレビを捨ててみたが、周期的にどうしてもアダルトDVDをみたくなり、その度に我慢できずにテレビとDVDプレーヤーを買いに行った。脳が覚えた快楽からは逃れることはできない。

テレビから出ているたくさんのコードをみているうちに「アンテナコードは捨てよう」とひらめいた。

アンテナ線をつなぐコードを捨てるだけでも大分すっきりした。これでもう一生テレビをみることができず、その分少しでも多く読書に集中できる。気づくのが遅過ぎた。

テレビをつけ、有名人の熱愛報道に見入ってしまい、そんなことを気にしている自分に悩んでいた。熱愛報道を見終わって、自分と全く関係ない、会ったこともない人の熱愛情報をネットで時間をかけて調べたりしてしまう。

新聞を読んでも、雑誌の広告の熱愛報道に目が行く。電車の吊り広告でも、ヤフーのトップ画面でも目が向いてしまう。知る必要はないし、知りたくないと本気で思っているつもりなのに、どこかで人のことが気になって仕方がない。

人のツイッターやブログをチェックすることはいっさいないが、知らなくていい他人の情報がどんどん頭にたまっていく。情報が多過ぎる。テレビのアンテナを捨てたことによって少しは楽になる。テレビのない生活は、時間が長くなる。(山田)

| chat-miaou | 05:17 |