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なるほど! 整理術 テーブル編

 

自分が死んだらとよく考える。

私が死んだら、誰かまだ会ったことがない人が私の遺品を片づけると思う。自治会の人か、近所の人たちかもしれない。

その時のことを考えたら申し訳なくなり、日頃から荷物はできるだけ減らしている。

冷蔵庫と洗濯機は仕方がない。体が動くかぎりつかう。二人がかりか業者に頼んでももらうしかない。他は一人で運べるものしかもたない。目安は片手で運べるものだけにしたい。1辺が90センチ以上のものは粗大ゴミになるから90センチ以上のものは家にもちこまないように気をつけている。100円ショップでメジャーを買ってきてほとんどの大きさを計ったが、冷蔵庫と洗濯機以外に面倒なものはない。意味のない人生だったが「物欲の少ないもたない男だった」と思われたい。

敷蒲団は燃えるゴミの日に出せない。小さく切断すれば燃えるゴミの日に出せるがハサミで切断するのは大変でハサミをもつところの皮がずりむけていき、かなり痛い。大変な作業なので先のことを考えて30歳の時に捨てた。毛布とかけ蒲団と枕はできるだけ小さいものを選び、45リットルのゴミ袋に入る大きさで、燃やせるゴミの日に普通に捨てることができる。もう20年近く敷蒲団はもっていない。

私の遺体以外はゆっくり掃除しても1時間もかからずに片づけが済むようにしてある。小さなものはみなある程度の大きさの箱にいれてあり、それぞれ運び出しやすくしてある。床もトイレも常にきれいにみがいてある。毎朝少量でも洗濯しているから今着ているもの以外に汚れ物はいっさいないし、ゴミはここ数年、毎朝少量でも欠かさず出しているから不要なものはない。

テーブルは大きいものをつかっていた。以前、家族がいた頃からつかっていたものだが、一人になっても捨てる気にはならなかった。大きいテーブルはものを置くのにいい。料理をするにもいろいろ広げることができていい。勉強をするのも広々して気持ちがいい。だが、いい歳をして自分の都合ばかりで生きられない。ここ2年で5回ぐらい倒れているから一応、死に支度はしておく。

大きなテーブルは体力あるうちに処分することにした。47歳の今でもかなり重い。丈夫な材質をつかっていて40キロはある。でかくてもち上げることはできない。気合を入れてから、血圧が上がって死ななないように左右にずらしながらひきずってなんとか処分した。こんな大きな迷惑なものを誰かに片づけさせるわけにはいかない。

イオンで小さなテーブルをみつけた。畳部屋があるからそこに直に座って食事すればいい。床に座って食事をすれば椅子もいらなくなる。小型で折り畳み式で、いつでも燃えないゴミの日に出せる。

しかし、店でイメージしたのと実際に家に運んでみた後では全然違った。

小さ過ぎる。いくらなんでもこれではおかしい。学校の机の半分しかないから給食を並べることさえできない。小さなテーブルを前に座ってみると、白い壁が威圧的で、人間の食事という気がしない。高さが15センチしかないから腰を痛める。

やはり大きなテーブルはあった方がいい。あった方がいいが自分だけの都合でもつわけにはいかない、と悩んでいると燃えるゴミの日にちょどよさそうなテーブルが捨ててあり、拾ってきた。軽くて片手で自転車で運べた。安い材質で4キロぐらいしかない。

部屋に運び込んでみるとちょうどいい。もっている椅子にも合う。ネジがゆるんでグラグラしているがこれからはテーブルに食べ物以外は置かないつもりなのでかまわない。もっと大きなテーブルがほしくなったら、この大きさのテーブルを二つ並べればいい。蹴飛ばせば簡単に足が折れ、普通に燃えるゴミの日に出せる。安心した。私が死んだ後、これぐらいなら迷惑にはならない。(山田)

 

 

| chat-miaou | 19:02 |
なるほど! 整理術 タンス編

 

引き出しにはできるだけものを入れない。

引き出しを閉めると見栄えはいいが、中に何が入っているかわからなくなり、そればかりが気になってしまう。

今は透明なプラスチックの収納タンスが売っているが、あれは安定感がよくない。せっかくタンスなのだから上に何かものを置けるようなものであって欲しい。テレビが置けるぐらい頼り甲斐があるタンスがいい。たまにはタンスによりかかりたい時もある。上でちょっとした書きものができる平な板のものが理想だ。

玄関で宅急便を受け取る時にハンコを置く台が欲しかった。ちょっとしたメモをする時のためにもあると便利なので手ごろなタンスを買った。なるほど、ハンコを置くにもボールペンでメモするにもちょうどいい大きさで気に入った。

しかし、長くつかっていたら、何も中に入れるものがない。宅急便なんて月に数回もこない。玄関にこんなものを置いていたら風通りが悪くなる気がするし、出入りがのびのびとできなくなる。ボールペンとハンコは玄関の電気ブレーカの上に置くことにして、タンスはこれからは台としてつかうことにした。

台としてはいい高さで、ものを置いたりメモをするにも広さがちょうどいい。

しかし入れるものがない。

入れるものがないが、台としては気に入っている。

引き出しを閉めていると中に何か入っているような気がする。

一番上の引き出しを、何も入っていないことがすぐわかるように開け放しにしておくと、ちょっとしたものを置くスペースが広がった。台にものをおいてもいいし、引き出しに脱いだ帽子を投げ入れることだってできる。つかい勝手がいい。

開けっ放しの引き出しは便利だが、これでは2.3.4番目の引き出しは全く意味がないのではずして捨てた。

2.3.4.番目の引き出しがなくなったことにより台は軽くなり移動が楽になった。タンスなのに片手でももち上がる。私はこういう、無駄がなくて、シンプルで、軽いタンスが好きだ。通気性がよくほこりがたまらず、虫が湧くこともない。掃除も楽で、こういう気持ちのいいデザインのタンスがあってもいいと思うし、私なら買う。(山田)

 

| chat-miaou | 22:33 |
ICレコーダー

 

政治家が車の中で怒鳴っている声を、怒鳴られている秘書が録音し週刊誌に聞かせ記事となった。その音声を週刊誌がテレビ局を通して発表した。

「このハゲー!」と絶叫し、ハゲの私は我がことのように悲しかった。娘がいるという男性秘書は10歳以上も年下の女性政治家に「お前」と呼ばれ「この野郎!」と怒鳴られ、生きているのが嫌になったと思う。娘と目を合わせることができなかったにちがいない。「お前は頭がおかしいよ」とまでいわれ、聞いているこちらまで泣きたくなってきた。

この女性政治家はいつまでもネチネチと秘書をいじめる。いいかえすことのできないおとなしい秘書を相手になかなか終わらない。私には秘書の気持ちがよくわかる。早く怒りがおさまることをじっと待っている。私はずっとハゲでデブで仕事ができないので何度も同じ経験をした。こういうことをいわれる度に数日落ち込んだ。

相手は気持ちよく、心と体で快感を味わっているからいつまでも怒鳴ったり嫌味をいい続ける。

『連続殺人犯の心理分析』という本にサディストについての記述がある。性衝動、攻撃欲、食欲の中枢は脳に近接し、波及効果がある。人が苦しむのをみて興奮するサディストにはこの波及効果が強い。食欲は弱い動物への略奪行為と結びつき、性欲は他の雄への攻撃に結びつく。その抑制のためにも、教育、法、宗教が必要になるが、教育、法、宗教では管理しきれない。

人をいじめることに快感を覚える人は確実にいる。脳のつくりがそうなっている。抵抗できない弱い相手をみつけ、いじめているうちに気持ちよくて行動がどんどんエスカレートしていく。声がでかくなったり、自分に都合いいようにめちゃくちゃなことをいう。

秘書は暴力もふるわれ、すでに診断書もあるのだから絶対警察に被害届を出してほしい。きっと捕まる。今もどこかで悲しんでいる弱者のために、日本人の意識向上のために、示談でなく訴えてほしい。捕まることで女性政治家はこれから先絶対にいじめない人に生まれ変われるかもしれない。これを機会にいい人にだってなれる。怒鳴られるなんてみんな嫌だし、暴力を振るわれるなんて本当に不愉快だ。

普段の顔と、弱い者に対する顔をつかい分けることのできる人がいる。こういう人は警察に捕まって深く反省するか病院で治療を受けるしかない。警察と病院にいかないかぎりいつまでもいじめ続けてしまう。気持ちいいことはやめられない。警察か病院にいくことでやっと自分の異常に気づき、やっと後悔する。サディストからノーマルになる人も確実にいる。

政治家や有名人は日本人の代表としてふるまわなければならないという世の中になった。

いじめから逃れられないで悲しい思いをしている人はICレコーダーを買ってほしい。1万円もしないでかなり高性能なものが買える。小さくて軽くて操作もボタンを押すだけで10時間以上連続録音できる。ポケットやバッグの中に入れておいてもかなり鮮明に音声が記録できる。普通の話し声は全部普通に聞き取れる。嫌な相手に会う前に録音ボタンを押してから会えば、相手の発言は全て録音できる。

私はボッタクリ店に潜入取材した時、バックの中に録音中のICレコーダーを入れて入店した。自分の声も女の子の声も店員の声も全てはっきりと録音されていた。

刑事事件にできるような相手ならそれを週刊誌に送ればいい。証拠になる。反撃できる。せっかく生きているのだから悲しんでばかりはいられない。私も次は診断書を取って絶対に訴える。(山田)

 

 

| chat-miaou | 12:40 |
理想のイカフライ

 

町の小さな中華料理屋のサービス定食にイカフライがあったので頼んでみた。

カウンター越に手渡されたイカフライは4本もあり、揚げ立てでプスプスいっている。突然、予想外にうまそうなものを渡され驚いた。なかなかこういうものは食べられない。

グルメ本でもよくプスプスいっているなんて書いてあるが、銀座の洋食屋にいってみたらプスプスなんていっていない。人気有名店は混んでいるから一つ一つにかまっていられない。有名人や撮影のためには一つ一つていねに扱う。テレビや雑誌に登場する店も実はそれほどうまくはない。有名人がうまいといっただけで一度いけば十分で、二度いくとうまいより高い。フライは熱いものを食べさせてくれればどこでも同じようにうまい。揚げ立てで、スーパーで売っている普通のとんかつソースとねりからしさえあれば他にはもう何もいらない。高級店のさめたとんかつよりも、町の中華料理屋の800円の揚げ立てイカフライの方が100倍以上うまい。

小さな店のカウンター席が狙いだ。揚がって5秒後に食べられる。

揚げ立てのイカフライにソースをたっぷりかけて食べると感動的した。

カウンターにとんかつソースが並んでいる。ありがとう、店のおやじの背中に心の中で頭を下げる。揚げものにはウスターソースよりとんかつソースがいい。ウスターソースでは衣に染み込んでしまう。とんかつソースをたっぷりかければどんなフライも豪華になる。ウスターソースはみためが醤油と区別しにくいので間違えて餃子につけてしまう。串カツや揚げものを出す店は頼むから普通のとんかつソースをカウンターに並べておいてほしい。串カツを注文し、揚げ立てがやってきてウスターソースしかないことに気付くと本当にがっかりする。一日が台無しになってしまう。かといって家で揚げものをすると換気扇が汚れる。部屋中空気がベタベタする。後始末が面倒くさいから後味が悪い。いつも後片付けをしてくれる食べ物屋さんに感謝しながらフライにかじりつく。

イカフライ定食のあまりのうまさにビールを頼みたくなったが、昼だったのでやめた。2本目を醤油にしてみるとソースよりうまい。熱い油とこげたパン粉と醤油の風味が甘くしょっぱく鼻に抜け、ごはんが進む。夕方もう一回食べにきたいが顔見知りになってしまうから明日にする。ライスもよかったが次はビールで食べようとかたく誓った。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
課題・らっきょう

 

らっきょうの季節を毎年楽しみにしている。

6月、泥らっきょうがスーパーの野菜コーナーに並ぶと1袋買う。

まずはタレをつくる。鍋に醤油1本、黒砂糖のかたまり、鷹の爪数本、しょうがをすりおろしていれ、弱火でゆっくりあたため黒砂糖を溶かしながら沸騰させる。沸騰したらすぐに火を消し、そのままさます。さましたらジョウゴで醤油の入っていたペットボトルに戻す。このタレはいつまでも日持ちするからあらかじめつくっておく。各分量は自分の好みでいい。しょっぱいのが好きなら黒砂糖を少なめにし、甘めがいいなら黒砂糖を多めにする。どちらにしろ飛び切りにうまくなるから毎回味を調整して進化させていけばいい。私はもう20回はらっきょうを漬けているが、いまだ研究過程にあり、死ぬまで進化し続ける。研究過程であっても毎回飛び切りうまい。

夕方、泥らっきょうの根を包丁で1粒づつ切り落とし、1粒づつ丁寧に水洗いする。タオルでらっきょうを拭いてやり、乾いたタオルに寝かせ、朝まで表面を乾かす。クーラーのそばに置いておくとさらりと乾く。

らっきょうたちへの愛が深まる。らっきょうはうまさを裏切らない。今年は1袋全部で117粒あり、117粒全部うまくなる。丁寧に扱って損はない。多少、雑に扱っても裏切られたことが1度もない。必ずうまい。うまさが長持ちしないから自分で漬けるしかない。外で食べられることはまずない。

70年ぐらい前の料理本が家にあり、数々の料理法が書いてあった。その中の泥らっきょうがうまそうで、その本の通りに漬けたら感動した。その本はもう捨ててしまったが、何回も漬けているので調理法が頭の中で進化しながら身についている。

朝、らっきょうの表面の皮が乾いてめくれてカサカサいっている。この状態になったらっきょうが汁を吸うのは早い。

完全に乾いているビンにらっきょうを詰め、上からタレを注ぐ。タレは少量でいい。20センチの高さの瓶なら、下3センチ程度溜まる程度でいい。ビンをぐるぐる回転させてタレをらっきょうにからませていく。気持ちが高まる。早くもうまそうだ。甘辛くていいにおいがする。

冷蔵庫に入れる必要はない。冷蔵庫に入れてはいけない。冷たいとうまくない。常温がおいしい。

浅漬けと同じだからビニール袋でもできるだろうが試したことはない。ビンを転がすのが楽しい。らっきょうがポトポト音を立ててタレにからまっていくのをうっとりとみつめる。

全体にタレがいきわたると数分でまんぱんだったビンの上部に隙間ができる。

らっきょうはぐんぐんタレを吸う。いつ味見してみても大丈夫だが、5時間過ぎた頃からうまくなってくる。根本と頭からタレを吸い、上から下からタレがらっきょうにしみ込み出したのがよくわかり、食べ頃がはじまる。もちろん、タレに漬かっている一番下がすぐに漬かるから、瓶は大きめの方がいい。上下にもらっきょうが転がるとまんべんなくタレがからまる。口の大きいビンなら手を入れ、おいしそうならっきょうを味見しやすい。

食べ頃を見極めるのが難しい。まだかな、というところから今だ、というところまで、ずっとおいしくてたまらず止まらない。

人それぞれうまさの見極めが違う。

味見段階で食べ終わってしまうことも多い。味見段階なのか食べ頃なのか何回漬けてもわからない。それほどうまい。最初は1キロ食べてしまう。おいしいのだからおいしいと思っているうちに食べたいだけ早く食べてしまえばいい。甘くてしょっぱくて、不自然でない気持ちのいい自然の辛さで歯ごたえがとてもいいから止まらない。ボリボリという豪快な歯ごたえが頭に響き、この爽快な歯ごたえはこのらっきょうでしか味わえない。らっきょうの甘みがタレと本当によく合う。

しょっぱさが冷えたビールに合う。ごはんにも合う。らっきょうをごはんの上にのせると醤油がいい具合にごはんにしみこむ。

あまりのうまさにビンを買い足してはいけない。1日で食べ切れる量を漬ける。1ビンづつ後悔ないように大切に付き合う。おいしく食べるにはそれしかない。1キロまでなら1人でもおいしいまますぐに食べ終わってしまう。

いくらおいしくてもいつかは飽きる。1ビン食べ終わってからもう1ビン漬ける。だいたい1シーズン2回でいい。

数日で発酵がはじまりすぐにすっぱくなりおいしくなくなる。汁を吸い過ぎてもしょっぱ過ぎておいしくない。腐ることはないのだが、完全に汁を吸うと真っ黒になり小さくなりまずい。あんなにおいしかったのに食べられたものではない。何度も手を入れて味見しているとかびる。時間が経てば経つほどしょっぱくてすっぱくて捨ててしまう。

らっきょうを何時間も放っておくことはできない。タレを入れたら頻繁にビンを転がす。早く食べたい。何時間もらっきょうにつきっきりなのですることのない日の朝に漬ける。友達に食べさせたくなるが時間との闘いなので人にあげるのは難しい。あげた人が食べる頃にはベストの状態ではないことがよくありがっかりする。においが強いから相手の都合もあり、いきなり食えとはいえない。らっきょうはタイミングがとても難しい。

手がかかるだけの価値は確実にある。(山田)

 

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
熱いおにぎり

 

外食に飽きたら自炊の方がうまい。

なんといっても米がうまい。コンビニで買ってきた米でも本当にうまい。新米でなくても本当にうまい。日本人は米を食って生き抜いてきたから、体が米を欲していて、だから米が一番うまい。

炊飯器で炊けた瞬間のごはんをビニール袋に入れ、刻んだ長ネギと納豆とわさびと山椒で軽く握ったおにぎりにする。おにぎりにした方が歯ごたえが増し、味が凝縮して米はうまくなる。

熱いから手でもてない。タオルに包んでおにぎりに醤油を垂らしながら食べる。醤油より納豆のタレの方がうまい。納豆のタレは、タカノフーズおかめ納豆旨味についている昆布タレが甘くて一番うまい。私は旨味の昆布タレを溜め込み、小瓶に移すほど重宝している。

しょっぱいおにぎりの後の水がうまい。

自炊生活で面倒なのは買い物で、買い過ぎると悪くなったり古くなったりしてまずくなり、少な過ぎるとすぐになくなる。毎日買い物に行くのは疲れる。

自転車生活なので、雨が続くと家に食べ物がなくなる。

何もない時もおにぎりにかぎる。実は具がなくても米はかなりうまい。いや、たまには具がない方が米の旨味に集中でき、格別にうまい。

いつものように炊き立てのごはんをおにぎりにし、山椒と納豆のタレをたらしながら急いで食べると汗が出る。米も納豆のタレも山椒も、買い溜めしても腐るようなことにはならない。数か月は、いつでもうまい。

口の中から湯気を噴き出しながら熱いうちに急いで食い終えると喉がかわいている。山椒で唇と舌がしびれている。よく冷えた水を勢いよくゴクゴク飲むとさらに唇と舌がビリビリしびれ、にぎやかで楽しい。山椒はケチらず、安物でなく、高級品を買った方がよくしびれる。いろいろ試したが、高ければいいというわけではなく、今のところ緑の缶に入った飛騨山椒が一番よくしびれる。高級品は安物とはしびれがまったく違い、気持ちいいからおいしい。(山田)

 

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
長ねぎの問題

 

朝起きると納豆が食べたくなる。

納豆+玉子の黄身+長ねぎ+わさび+タレで食べたい。湯気の立つ炊き立てのごはんに納豆をかけたら味噌汁もすすりたくなる。

歯を磨いて、シャワーを浴びて買い物に出掛ける。

まだスーパーは開店していない。24時間営業のスーパーは自転車で往復30分かかるから、そこまで面倒なことはしたくない。しょっちゅう早朝に買い物に出掛けている。

たまにコンビニに長ねぎが売っていると嬉しい。刻んであるものも売っているが、あれは風味が劣化してうまくない。刻み済みの長ねぎなら入れない。納豆に入れる長ねぎは縦に半分包丁を入れてから自分で刻まなければうまくない。

わさび以外は買い置きできない。量が多過ぎるし、冷蔵庫にあるとなぜか食べない。納豆を食いたいと思った朝、買い物に行くしかない。不思議と夜、納豆を食べたいと思う気にはならない。

牛丼屋の朝定食でもいいが、自分でつくった方がうまいし体にいい。体があたたまる。

味噌や出汁の素は一人暮らしには荷が重いからインスタント味噌汁を2食分鍋に入れ、なんでもいいから野菜と豆腐を煮る。赤だし気分なら永谷園のひるげ、合わせ味噌気分ならあさげ、納豆に入れた玉子の黄身の残りの白身も、ぐつぐつ沸騰した味噌汁の中に入れる。

白身を納豆に入れると、味が薄まるし、水っぽくなるからごはんの底に吸収されていってしまい、見栄えも悪い。食感がなく、さらさらとすぐに食べ終わってしまう。ごはんにかけた納豆の上に七味を振ると色合いが美しく、食欲が増す。

納豆に添付されているからしは入れても変わりがないから無駄な物は入れない。粉からしを練った物なら刺激が増してうまいが、練るのが面倒くさい。

中学生の時、学校帰りに長ねぎの入った袋を下げて歩く私をみて、近所の人に「お手伝い? 偉いわね」とよく声を掛けられ、嫌で仕方がなかった。母が料理をしない人だったので私は小学校1年からずっと自炊だった。今でも長ねぎをもっていると非常に目立つ。私生活をみられているようで恥ずかしい。たまにコンビニで半分に二つに切ってあるものが売られるようになったが、他でもああして欲しい。緑色の部分なんて家に帰って捨てるだけで、私はいつも自分でその場で半分に折ってレジ袋に突っ込む。おばさんが長ねぎを半分に折ってハンドバックに入れる漫画が昔はやったが、あんな姿、誰にもみられたくない。この世で一番重宝する食べ物といってもいいくらい好きなのに目立つからできるだけ買わない。

4時に起きることが多いのでなかなか長ねぎを入手できない。とはいえ、うまい納豆を食べるには長ねぎの代わりが絶対に必要だ。玉ねぎは長く保存できるが、代わりにはならない。玉ねぎはクセが強過ぎる。薬味とはいえず、うまく調和しない。かといって納豆だけでもうまくない。美しくない。キムチは主張が強過ぎ、食感が納豆と違うものとなり、ニンニクのにおいが残り、後味が悪い。

新玉ねぎなら合うが季節が限定されているし、季節になってもコンビニで見掛けることはない。

今のところ長ねぎの代わりができるのは枝豆しかいない。(山田)

 

| chat-miaou | 01:01 |
町の肉屋のメンチカツ

 

思春期の頃に通った町のメシ屋はどこもなくなってしまった。今考えても駅前にあった小さな中華料理屋はこの世で一番うまかった。1000食以上は食べたから、今でもそれぞれ味をよく覚えていて、あれに似た味はどこにもない。味噌の効いた肉野菜炒め、中華鍋でつくるから巨大化した三段のかつ丼、みためは動物のエサでトロみのない中華丼、トロトロで甘酢とは無縁のあの店でしか食べられない天津丼、酔っ払いが大喜びで注文する特盛チャーハン、小麦粉を強火で炒めてつくる具が肉と玉ねぎとセロリだけのカレーライス、どれも最強の名にふさわしかった。20年前になくなった店なのに、ネットで検索するといまだに熱い思いを語っている人が多いので、やはりあれは本当に地球で一番うまい中華料理屋だったかもしれない。

町の肉屋ももうすぐなくなる。魚屋も八百屋もなくなっていく。大型スーパーにかなわない。儲からないから後継ぎもいない。今のおじさんとおばさんが働けなくなったらどこも店を閉める。

町の肉屋にはうまいメンチカツがある。儲けを考えずに、昔から同じつくり方をしている。今風に合わせることなんてない。歳をとって今さらそんなことはできないし、する気もない。だからあいかわらずうまい。

レストランのうまい自家製メンチカツとは違う。デパートのうまい今風メンチカツとも違う。昔から慣れ親しんだ町の肉屋のメンチカツが一番うまい。

私の町の肉屋のメンチカツは肉がつまっている。10分前に頼めば揚げたてを買えるが、家に帰る間に冷えてしまう。

ここの肉のつまった固めのメンチカツにはとんかつソースよりもカレーよりもハヤシライスが合う。

外でカツカレーを食べていると、「もっと熱いのが食いたい」「揚げたてのカリカリしているのが食べたい」「ルーをケチちらずにドップリとかけたい」と思う。納得するには自分でつくるしかない。

町の肉屋に行ってメンチカツを二枚買った。100円ショップでカレー皿を買い、スーパーで油とレトルトハヤシライスを二つ買った。

手抜きをしない。レトルトハヤシライスはきちんと熱湯で十分過ぎるほどにあたためる。じっくりあたためると食べる時に湯気が勢いよく立ち上って気持ちがいい。

米が炊けるのに合わせてメンチカツをもう一度揚げなおす。衣がカリカリになって、さらにハヤシライスに合う。

米が炊けた。包丁でザクザクとメンチカツを三つに切り、ごはんにのせる。ハヤシソースをかけたいだけかける。ごはん、メンチ、ルー、どれも口がやけどするほどに熱くなっている。全てがそろった、こんなにうまいものはない。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
さば缶

 

さばの水煮ほどうまいものはない。

鍋を食う時、煮えてきたな、と思ったらさばの水煮缶を開ける。固形部分を食べる。スープは飲まない。毎回思うが、さばの水煮は脂がのっていて本当にうまい。醤油をかけてもうまいし、わさびにも合う。鮨屋で食うつまみと同レベルで、いつでもうまくて感心する。

固形部分を食べ終わったら缶を取り皿にして鍋を食う。

さばの水煮スープは、野菜でも豆腐でも、肉でも魚でも餃子でも何にでもよく合う。

鍋の味付けはあってもなくてもいい。さっぱりした薄味がいい。水炊きでいい。

さばの水煮の味付けは塩のみなのに、さばのうまみがスープに溶け出している。味が薄くなったら、ポン酢でも、おろし焼肉のタレでも、醤油でも、わさびでも、山椒でも、コショウでも、何を足しても生き返る。足したいものを足していき自分好みの味にする。どんなラーメン屋のスープよりもうまいスープへと変化していく。熱いスープが飲め、体にもいい。

自分の好みで味付けしていくのだからまずいはずはない。こんなにおいしくて熱いスープは外食では絶対味わえない。ごはんにも合う。

サバ缶は高級品でなくていい。高いには高いだけの意味があるようだが、たぶんさばを厳選しているだけで、普通の人には違いがない。年によって脂ののりが違うから高ければうまいというものでもない。脂ののりのいい年は、100円なのに例年よりもコクが増し、味が奥深い。コンビニで売っているサバ缶もめちゃくちゃうまい。

なぜうまいものは高いのだろう? という疑問は誰もがもったことがある。ウニ、牛肉、まぐろ、フォアグラ、数が少なくて生産、製造、保存に金がかかると高くなる。

ラーメン、ポテトチップス、米など安くてうまいものはたくさんある。

基本的に、エサを食う動物系が高く、水と太陽で育つ植物系が安い。

しかし、納豆や豆腐なんて、もしも大量生産できなかったら高級品にふさわしい味わいがある。

鯨と同じようにさばだっていつ何が起こって漁獲高が減るかわからない。さばは安いが、高級魚よりうまい。

さば缶を取り皿にした鍋がまずいと思ったら、悪いのは味付けに失敗した自分自身だ。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |
神保町の昼メシ

 

長く神保町に勤めたので、長く続く店はだいたい行った。

神保町はうまいものだらけで、昼メシがうまい。神保町に勤め始めた若者や神保町の学校に通い始めた学生は、まずはてんぷらのいもやととんかつのいもやに感動する。とんかつのいもやのサービスの漬物は甘くてかなりうまい。熱くてかために炊いたごはんに合う。てんぷらのいもや1丁目店の味噌汁はうまい。神保町にいる人は誰でも平均20回以上いもやに行ったことがある。それから誰でもカレー巡りをし、共栄堂、まんてん、キッチン南海、ボンディあたりは全員一度は行く。どこも数百円で安い。安くてうまい。

神保町デビューをした人は昼にうまいものばかり食べ、店が無数にあり、次から次に新しい、あらゆるジャンルの店が誕生するから飽きずに行き尽くすということがない。

不思議と、夜は行きたい店が少ないから、神保町の編集者は昼は神保町の会社の近所で、夜は他の街に電車に乗って打ち合わせに行く。

神保町から離れて長く経つと夜もやっぱりうまい。ランチョンのエスカルゴ、ビーフパイ、エビフライ、チキン唐揚げ、エビクリームコロッケ、セルジュのミックスピザ、寿司政の甘くない鮨、そばよりてんぷらの人気が高い松翁、生きたエビの揚げたてを急いでもってきてくれ口の中がやけどする。神保町に行きたい。

昼、私はうなぎの今荘が好きだった。

数か月に一度、うなぎの今荘に行きたくなり、行くと決めたら朝から体調を整えて、満席になり列ができる前に、いつも開店時間の11時半に今荘に行った。12時になると満席で入れず、すぐに食べられない。

メニューはうな重のみで、大盛を頼む。ごはんの量が違うだけで値段は大盛と並で変わらなかった。並は炊き立てごはんの上に、チョボリチョボリとおいしいタレをかけ、焼きあがったうなぎをのせてふたをする。大盛りは箱から飛び出すほどにそびえた山盛りごはんにジャボリジャボリとおいしいタレがたっぷりかけられ、ごはんの頂上にふんわりと焼きあげられたホヨホヨのやわらかい鰻をのせ、おばさんが重箱の蓋で山盛りごはんをグッとプレスする。

配られた重箱を開けた瞬間、朝から何も口にしないでよかった、と実感する。山椒を多目にふり掛け、上顎の皮がはがれるほどに熱い肝吸いをすすりながらかために炊いたごはんをかみしめていく。何口食べてもうまさが続く。ごはんののど越しがいい。最後にうなぎをいっぺんに頬張り脂っ濃さを味わう。箱の隅の最後の一粒まで楽しくいただける。ごはんもうなぎも肝吸いも全部熱々で、食べ終わるとうっすら汗をかいている。

今荘の話をすると、聞いた人が翌日今荘で大盛を食う。私も何度も飲み友達と今荘で遭遇した。口コミでうまさが広がっていく。

3000円は全然高くない。他のうなぎ屋とは満足感が違う。前の晩に話を聞き、翌日朝から腹をすかせ、熱くておいしいうな重で腹一杯にする。これ以上の喜びはない。(山田)

 

 

| chat-miaou | 01:01 |